IT起業家が移住で実現した島のホテル

オピニオン室

しまなみ海道の県境、
多々羅大橋を望む今治市大三島に
元IT起業家が移住し、実現した
島の魅力を再発見させてくれる
ホテルがあります。

宿泊にカフェ、
サイクリングサポート施設、
釣りに使える船まで備えた
WAKKA(ワッカ)です。

経営するのは
株式会社「わっか」代表取締役CEOの
村上あらしさん(東京出身・46)。

「ここは最高ですよ。
もう東京には戻れない」(村上さん)。

家族4人で、島の生活も満喫しています。

村上さんは
決済システムのソフト開発などを
手掛ける会社を起業し、
軌道に乗せた後、大手企業に売却。

新たに
瀬戸内の島々を舞台に観光・宿泊、
旅行、運輸(タクシー)などを手掛ける
「わっか」を立ち上げました。

1,200坪の敷地に、海に向かって
開放的に広がるカフェ。

ドームテントと呼ぶグランピング施設。

コテージやドミトリータイプなど
合わせて9部屋が用意されています。

オープンは2020年3月、
まさにコロナと共に
スタートしましたが、
「コロナ前の売り上げが
存在しないため、
比較の対象がなく
いいのかどうか分からない。
でも、そこそこ
いってるんじゃないかなぁ」と
どこか余裕の表情です。

◆船&自転車での移動はぜいたく?

村上さんが今年度から
本格的に取り組んでいるのが
シェアバイク事業です。

昨年度、
県の事業の一環として実証実験を行い
今年度から20台の電動バイク(自転車)を
県からリース(賃借)するかたちで
正式に事業化、
管理・運営に乗り出しました。

大三島と伯方島の港など
5か所に設置したステーションに
電動自転車を配置、
利用者はアプリを使って
開錠、施錠、支払いまで
全てを利用者自身で済ませます。
(※ちなみに、このアプリは
ソフトバンクグループの
社内ベンチャーから生まれた)

「船で海を移動する魅力は
都会では味わえない。
瀬戸内海に来て
歴史的に培った航路網の
きめ細やかさを初めて知った。
この航路網と路線バス、
自転車を使って
『アイランドホッピング』の魅力を
発信したい」(村上さん)。

◆楽ではないシェアバイク事業

一方、シェアバイク事業が
決して楽ではないことは
村上さん自身が認めます。

「この事業は成功事例が少ない。
人口が多い都市部では
なんとかなるかもしれないが
過疎地、島だと
良くて採算トントンかなぁ」。

その理由は、収入に比較して
コストの高さにあります。

主なコストは
・電動バイクのリース料
・ステーションの場所代(使用料)
・システム(アプリ)の運用費用
・修理代
・乗り捨てられた自転車を
回収するための人件費も必要で
その際、橋の利用料金も
大きな負担といいます。

「シェアバイク事業は
税金も使わせてもらった事業。
(※実証実験期間)
地域の魅力を高めることが一番の目的」
(村上さん)。

あくまでシェアバイク事業は
広い意味と長い時間軸での
観光振興との位置づけです。

◆どこか楽し気な起業家

村上さんは取材中、終始、ニコニコし
突っ込んだ質問にも
柔軟に対応するなど
私の抱いていたIT起業家の
イメージとかなり違いました。

*****

観光業って
農業に似てるな・・・
取材を終えて感じました。

土地に根差し、
土地を誇りに思う気持ちが
仕事の原点です。

IT起業家が土地の価値を
どのように考えているのか?
分かりませんが、
村上さんのニコニコは
きっと、大三島という
土地の魅力を知り、
土地に根差そうという決意から来る
ニコニコだと感じました。

記者プロフィール
この記事を書いた人
三谷隆司

今治市出身(57) 1988年南海放送入社後、新居浜支局、県政担当記者を経て現在、執行役員報道局長・解説委員長。釣りとJAZZ、「資本論」(マルクス)や「21世紀の資本」(ピケティ)など資本主義研究が趣味。

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