「コロナの中、自販機部門は黒字です」。
今治市でホルモン屋を経営する
阿部利弥さん(50)は、こう話します。
去年6月から
店の人気メニュー、ラーメンを
自販機で販売し
コロナ禍の中、
『自販機決算単体』ではありますが
”黒字化”を達成しました。
「自販機を増やすんだったら
融資の相談に乗りますと
銀行から話もきた」(阿部さん)
と予期せぬ反応も
あったといいます。
自販機の中をのぞいたところ・・・
「なんじゃこりゃ!」(阿部さん)。
売り切れ寸前でした。
阿部さんの持論によると
自販機は売り切れが何度か続くと
お客が来なくなるそう。
危ないところでした。
◆経営はジェットコースター状態
もともと造船所関係のとび職
(足場屋と呼ぶらしい)をしていた
阿部さんは、
飲食店を手伝う機会があり
「”いらっしゃいませ”
”ありがとうございます”という
人間関係の楽しさに気づいた」と
5年前に一念発起、ホルモン屋を開店。
昭和レトロな雰囲気も人気を呼び
立ち上がりは好調。
特に〆のラーメンが美味いと
評判になりました。
オープンして1年間は商売繁盛、
「調子に乗っていた」(阿部さん)。
ところが、2年目のGWには
コロナで大打撃を受けます。
その後は
「ジェットコースター状態」
(阿部さん)。
「仕入れが売り切れる日もあれば、
感染が拡大すると予約は真っ白」
「売上げと
仕入れの支払いがズレるため
売上げの下支えになる現金収入が
必要だった」(阿部さん)。
思いついたのが
ラーメンの自販機販売でした。
◆自販機はリース、収支管理が簡単
店の雰囲気に合わせてデザインを
オーダーしたラーメン自販機は
実はリース。
費用が月々、定額で把握できるため
自販機での売上げと対応させて
”自販機部門”の収支管理が
簡単明瞭です。
「自販機部門は黒字」で
「売り上げの下支えになっている」
(阿部さん)。
◆広がる!自販機販売の「輪」
自販機ビジネスの好調は
今治市内でも話題を呼び
自販機で販売する商品を
コラボして盛り上げよう
という動きも起きています。
よく見ると・・・
自販機メニューに
「鶏蒲焼き」というのがあります。
炭火焼き鳥の店「ういち」。
今治では珍しく、鉄板ではなく
炭火焼鳥の店舗です。
親子二代30年続く店の看板メニューが
鳥肉をタレで蒲焼風に焼く
鳥の蒲焼き。
ホルモン屋の阿部さんと
意気投合して
二代目の渡部高史さん(38)が
試しに真空パックした鳥の蒲焼きを
自販機を”間借り”して
販売したところ・・・。
「予想以上、
そこまで売れるか、と感じた」(渡部さん)。
特に週末に売れ行きが良く
2日間で14個を完売させたこともある
といいます。
「臨時収入としてありがたい」
「コロナの今の時期は貴重な収入」
(渡部さん)。
ういちの鳥の蒲焼の自販機販売は
3月一杯で終了しますが
渡部さんは今後、
良い場所が見つかれば
自前の自販機を出店し、
店のメニューを自販機で売る
「惣菜業」(渡部さん)に
挑戦したいと前向きです。
*****
手探りで始まった
コロナ禍の自販機ビジネスですが
予想外の広がりをみせています。
次回は
東京の有名ラーメンを仕入れて
店舗で自販機販売する
(つまり自分のラーメンではなく
他店のラーメンを
店の前の自販機で売る)
ラーメン店のケースをご紹介します。