TVの「伝える力」再考~ZIP!しまなみ中継

オピニオン室

『生中継』という
TV放送で培った「伝える力」の強さを
ZIP!全編しまなみ海道中継
(2月25日午前5時50分~8時放送)
に同行取材し、改めて感じました。

TV離れが進むとされる中、
その「伝える力」の
役割と責任についても
深く考えさせられました。

◆日本テレビ、南海放送、総勢50人
しまなみ海道に集結!

早朝4時45分、
6元中継(6か所を生中継でつなぐ)の
拠点となった
しまなみ海道・来島海峡大橋が見渡せる
今治市糸山展望公園にスタッフが集合。

南海放送制作部の荻山雄一部長は
「今回は自転車や船、ドローンなど
移動体からの中継が複数含まれ、
かなり難しい中継。しかも全国放送。
愛媛マラソンなどで培った
中継技術が試される」と
表情を引き締めます。

現場からの中継映像を一旦、集約し、
取捨選択して
松山市の南海放送本社に送るのが
大型中継車。

南海放送技術班の要、谷本繁樹部長
(写真・上)、
日テレからも伊村佳恵さんら3人
(写真・下)が乗り込み
日本テレビ・南海放送連合で
多元中継に臨みます。

日本テレビの情報・制作局
ZIP!長田 宙プロデューサーは
「こんなに移動しながらの
大規模中継は
ZIPではかつてない。
青木美奈実キャスターは
上手で真面目で堂々としていて
入社3年目と聞いて驚いた。
期待している」と
本番前に話しました。

*****

自転車中継部隊は総勢9人、
青木キャスターに付き添って
橋を渡ります。

橋の下では
船から小川貴弘アナウンサーが
リポート。

こうした多元、移動体中継が
2時間10分の番組内に約15回ありました。

◆時間キープも完璧!

来島海峡大橋を渡って、
次の節目となる大島での中継は
よしうみいきいき館から。

次の中継スタッフが待ち構えます。
(上・制作部 冨永哲史マネージャー
下・正上洋三ディレクター
共に南海放送)

ここからは
ミニバンに乗せた
機動力のある中継機材で
糸山の大型中継車に映像を送ります。

自転車部隊が到着するやいなや
手際よく動線の確認と
カメラリハーサルを済ませ、
瞬く間に全国に向け
しまなみ海道の魅力を発信しました。

テレビは
ネット配信と違って
厳密な放送時間の管理が要求されます。

商品の売り場に例えると
テレビは限られた売り場面積
(放送時間)に、
どれだけ魅力的な商品を並べるかが
とても重要です。
(ネットは売り場面積がほぼ無限大
なので、割と時間にルーズ)

台本作成、日本テレビとの連絡調整を含め
中継全体を統括した南海放送の
楠目厚人メインディレクターは
ここまでの進行について・・・。

「完璧です!」。

◆アナログ時代から伝え続けた経験を
いかにデジタル時代に活かすか

最後の中継は伯方島の
「マリンオアシスはかた」から。

番組の顔であるマーティンと
南海放送の岡内ひかりアナウンサーが
フィナーレを担当します。

最後は涙交じりの感動で幕を閉じました。

*******

テレビは今、デジタルメディアと
し烈な競争を強いられていますが
私たちにはIT時代の前の時代、
アナログ時代から培った
「伝える力」が備わっていることを
改めて確認した気がします。

テレビでZIP!をご覧になった
視聴者の方々は
どのようにお感じになりましたか?

「伝える力」は
”人”に備わっているもので
電波やインターネットという
道具に備わっているものでは
ありません。

「伝える力」を
現場でさらに鍛え
道具をIT時代に適応させ
市民の声、ニーズに耳を傾けながら
伝えるべきことを
伝え続けられるよう努力したい、
そう感じました。

記者プロフィール
この記事を書いた人
三谷隆司

今治市出身(57) 1988年南海放送入社後、新居浜支局、県政担当記者を経て現在、執行役員報道局長・解説委員長。釣りとJAZZ、「資本論」(マルクス)や「21世紀の資本」(ピケティ)など資本主義研究が趣味。

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