松山から世界を目指すコントラバス職人

オピニオン室

イタリアでの修行を経て
弦楽器のコントラバスを
専門に作る職人が松山にいます。

※詳しくは動画で!

 

コントラバスに憧れて

おととし4月、
松山市の柳井町商店街に
弦楽器工房
ラ・キャーヴェ・ディ・バッソを
立ち上げた
西村啓二さん(32)。

コントラバスはオーケストラで
重低音を担う大型の弦楽器。

コントラバスを専門に作る職人は
国内では10人に満たないと言われ、
世界でもおよそ1000人と
大変珍しい職業です。

Q コントラバスの魅力は

西村さん
「オーケストラの主役・
バイオリンを支えるコントラバスは
自分の個性に合っていると思った」
「堂々とした姿や重低音など
楽器そのものにも魅力を感じた」

西村さんとコントラバスとの出合いは、
松山西高校の吹奏楽部時代でした。

演奏者としてコントラバスと付き合う中
自分で作りたいと思うようになりました。

卒業後、音楽とは関係のない大学に進みますが
コントラバスを作りたいという思いから
中退して楽器作りの専門学校(名古屋)へ。

さらに…

イタリアへ楽器作りの武者修行

22歳のとき、弦楽器製作の本場
イタリア・クレモナへ渡ったのです。

弟子入りしたのは、
ミラノ・スカラ座の楽団員など、
世界レベルの音楽家からも
製作の注文が入る
コントラバス作りの巨匠
マルコ・ノッリさんです。

楽器作りとともにイタリア語を猛勉強。

足掛け5年にわたり、マルコさんから
コントラバス作りを学びました。

西村さん
「働く姿勢や生きていく上でのコツや
生き方などを教わった。
マルコさんは人生の師匠だと思っている」

マルコさんに
連絡をとってもらえないかと
お願いしたところ、テレビ電話で
会話してもらえることになりました。

互いに顔を合わせるのは2年ぶり。

マルコさんは、巣立った西村さんに
こう語りかけました。

マルコさん
「君が日本に帰って
工房を開くことができて
私は満足している。喜んでいるよ。
よい将来にはよく働くことが大切だよ。
たくさんの情熱で
コントラバス作りを続けてほしい」

徒弟制度で受け継がれる伝統

師匠のもとで技術を学ぶ徒弟制度は、
洋の東西を問わず
さまざまな仕事で存在します。

コロナ禍が終わって、再び
意欲ある若者が自由に世界へ羽ばたき、
人生の師匠と呼べる存在に出会えるよう
願わずにいられません。

記者プロフィール
この記事を書いた人
中武正和

1975年11月松山市生まれ。南海放送南予支局(宇和島駐在)記者として一次産業を中心に様々な話題を取材。西日本豪雨は発生時から被災地で取材活動に従事。2021年4月から県庁担当記者。南予・東予から届く支局の話題を分かりやすく解説します。

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