重点措置は申請せず… 愛媛のコロナ対応

ニュース解説

オミクロン株による
新型コロナの感染拡大が続く県内ですが
愛媛県は国に
“まん延防止等重点措置”の適用申請に
踏み切っていません。

◆重点措置とは?

緊急事態宣言に次いで強力な
まん延防止等重点措置(重点措置)
去年2月に新たに導入されました。

県内では
去年4月25日~5月22日と
8月20日~9月12日の
2回適用されています。

重点措置が適用されると
▼飲食店等に対する制限
(酒類提供禁止含む営業時短要請など)

▼施設の使用制限
(感染対策していない人の入場禁止)

▼イベント等の開催制限
(人数・収容率を設定)

▼外出・移動制限
(混雑場所への外出自粛)

▼職場への出勤制限
(テレワークの促進) など
具体的な行動制限をかけることが出来ます。

◆全国の重点措置

今月、全国では広島、山口、沖縄に
重点措置が適用され、
あす(21日)からは
東京、埼玉、千葉、神奈川、群馬、
新潟、愛知、岐阜、三重、香川、
長崎、熊本、宮崎の13都県にも
適用が拡大されます。

◆愛媛に重点措置は…

愛媛県も依然、感染拡大の
ピークも見通せない状況ですが
中村知事は17日の臨時記者会見で
「オミクロン株の特性を見ると、
営業時短要請などで飲食店だけを抑えても
感染防止にはつながらない」などと述べ、
現時点では適用を申請しないとの
考えを明らかにしました。

その理由として
「すでに適用されている3県では
(適用後も)感染拡大が続いていて、
効果が薄いと思っている」
「(業種として制限を受ける)飲食店と
(制限を受けない)それ以外の
業種の不公平感もある」などと指摘。

その上で
「そういった歪みがあることを
政治行政に関わる
全てが考えるべきだと感じている。
国会では一刻も早く、
オミクロン株に適応した
メニューを考えてほしい」などと述べました。

◆従来と異なる感染拡大のパターン

中村知事が重点措置の適用申請に
否定的な考えを示した理由に、
これまでとは異なる県内の感染経路があります。

県内の感染拡大第6波は、
年末年始の県境をまたいだ往来に
原因があるとみられています。

県外から持ち込まれたウイルスが
家庭で広がり、
職場や学校へとオミクロン株の
感染力の強さによって一気に拡大したと
みられます。

クラスタ-も
さまざまな場所で発生しています。

これに対し
去年3月下旬に始まった
感染第4波では
松山市繁華街の飲食店で発生した
大規模クラスターが引き金となり、
飲食店→家庭→学校・職場へと
感染が急拡大しました。

中村知事は、こうした従来のパターンと
今回の第6波は異なっていると分析し、
重点措置のもとで
飲食店に的を絞った対策を講じても
効果は薄いとしているのです。

◆基本は自宅療養

医療のひっ迫度も、
これまでとは異なります。

第6波は軽症や無症状が多く、
県は基本的に自宅療養という
体制をとっています。

きのう(19日)の入院者数は
予定を含め59人。
(今週中に確保できる病床数は263床)

宿泊療養施設は予定を含め45人。

自宅療養している人は1371人です。

一方で、
毎日100人以上の感染が確認されていて、
今後、病床使用率が危機的な水準にまで
上昇するのではないかとの懸念は残ります。

*******

今後、状況によっては
県内でも重点措置が
適用される可能性はありますが、
一人ひとりが
基本的な感染回避行動を
常に心掛け、実践することが
最も有効な感染対策であることに
変わりはありません。

記者プロフィール
この記事を書いた人
中武正和

1975年11月松山市生まれ。南海放送南予支局(宇和島駐在)記者として一次産業を中心に様々な話題を取材。西日本豪雨は発生時から被災地で取材活動に従事。2021年4月から県庁担当記者。南予・東予から届く支局の話題を分かりやすく解説します。

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