道後温泉本館を現代アートでラッピング!?

オピニオン室

3年後、2024年1月の完了を目指し

約6年間の計画で保存修理工事が進む

道後温泉本館。

 

国の重要文化財に指定されている

歴史的建造物が、今

現代アート作品ですっぽりと覆われています。

上空から見てもご覧の通り

 

手がけたのは宇和島市を拠点に活動する美術家、大竹伸朗氏。

大竹伸朗氏(66歳)

ヴェネチア・ビエンナーレやドイツ・カッセルでのドクメンタなどの

国際展にこれまで参加してきたほか、身近なところでは

香川・直島の「直島銭湯 I♥︎湯」など

国内外のアートシーンの最前線で活躍を続けています。

 

例えば、JR宇和島駅で実際に使用されていた「宇和島駅」というネオンサインを

東京都現代美術館のファサードに掲げ、度肝を抜かれた「全景」展のように

展覧会や作品集のタイトルを「○○景」とすることの多い大竹さんですが

今回の作品名は「熱景/NETSU-KEI」。

 

 

テーマは“エネルギー”だといいます。

地球の中心から湧き出てくるイメージ。

温泉というと、地熱なりマグマなり

そういった地球の自然の摂理というか

宇宙の摂理というか、そういうものと温泉みたいな

イメージがあって、地球のパワースポット的なイメージが

温泉というとあったので。

(12月17日・完成記念イベント@道後温泉本館前 大竹さんあいさつより)

 

作品を楽しむには

商店街からのアプローチがおすすめです。

 

道後商店街を道後温泉駅から

道後温泉本館に向かって進み、角を右に曲がると…

この“景”が出現。

 

突然、視線の先に

商店街のアーケードという額縁で切り取られた

迫力ある作品が姿を現します。

 

こちらが西側の景。

ちぎり絵でマップ、街中の地図をイメージして制作したといいます。

西面

そのまま北面へと回り込むと…

北面

 

こちらは

お湯の表面の波紋がモチーフだということです。

 

近付いて見ると重なり合った紙の層の立体感や

ちぎられた紙の繊維など

原画の質感が精巧にインクジェットで再現されていて

大竹さんの、紙をちぎっては貼り、ちぎっては貼り…

という手の運動の痕跡まで感じることができます。

 

大竹さん、観光客がこの前に立って、記念撮影をするのを意識したということ。

インスタ映えじゃないけど

どこを背景に撮っても無限に背景が選べるよう

とにかく徹底的に細部の密度を上げることっていうのに集中しました。

(12月17日・完成記念イベント@道後温泉本館前 大竹さんあいさつより)

 

近付いて鑑賞することができる西・北面が

抽象表現なのに対し

東面には石鎚山が。

 

東面

 

南面には白鷺が描かれています。

南面

 

西面・北面は足湯も設置されている冠山(かんむりやま)からの

鑑賞がおすすめです。

 

トークイベントでの大竹さんの言葉が印象的でした。

思い浮かべるのは孫を連れたおじいちゃん、おばあちゃんが

一緒に指さして話せるみたいなのを目指すんですよね。

(中略)

外国の現代美術展とか見に行くと

その国の政治状況を知らないと分からないみたいな作品がやたら多いわけ。

確かに哲学的に素晴らしいんだろうけど

アートってそんなのを何も勉強していない人も、

アート史を知らない人も入り込むもの。

やっぱり音楽とか絵っていうのは

そういうのが一番大事だと思うんですよね。

でも今アートがもう理屈になっちゃってて

あんまり面白くないんだよね。

洒落が利いてないっていうか、なんかね面白くないのよ。

ユーモアないし。 (12月18日大竹さんトークイベント@宝厳寺より)

 

理屈は抜きにして

ぜひ道後で大竹さんの“熱”を体感してみてください。

 

もちろん温泉の“熱”も堪能を。

現在、期間限定で入浴券にも大竹さんのデザインがあしらわれています。

 

 

 

記者プロフィール
この記事を書いた人
松岡宏忠

奈良県大和高田市出身。2005年に入社し
2009年の「NEWS CH.4」番組開始とともに
フィールドキャスターに。
2013年からキャスターを務める。
2021年春からはデスク業務にもあたる。
好きな言葉は「毒蛇は急がない」。

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