愛媛県美術館で開催中の
「平等院鳳凰堂と浄土院 その美と信仰」展。
会期の折り返しに合わせて
展示作品の入れ替え作業が行われ、
12月8日から後期展がスタートしています。
平安時代の1052年に
京都府宇治市に開かれた、世界遺産の「平等院」。
企画展では
平等院に収蔵されている襖絵や
かつて鳳凰堂を彩った装飾金具など
約80点が展示されています。
“目玉”の一つが
国宝の『雲中供養菩薩像』。
1053年に仏師・定朝の工房で彫られた
高さ70センチほどの木像で、普段は
鳳凰堂の『阿弥陀如来坐像』を取り囲むように
北側と南側にそれぞれ26体、
合わせて52体が配置されています。
よく見ると…
雲の上で楽器を演奏したり、舞を舞ったりと
一体一体、それぞれ動きも表情も違います。
前期展まで展示されていたのが
琴を演奏する菩薩像、北一号と
香炉のようなものを手にする北十三号。
展示替えのため
その2体が運び出される現場に
CH.4のカメラが潜入しました。
運搬の作業で“国宝”が
傷付くことがあってはならない…
その超重要任務を担うのが
物流のプロ、日本通運で
美術品輸送を専門とする精鋭部隊です。
そーっと…
そーっと…
丁寧に、
丁寧に。
見ているこちらも
息が詰まりそうな作業ですが…
あることが気になりませんか?
そう、作業が“素手”で行われています。
作業を担当する
日本通運・関西美術品支店の原弘幸さんに
聞きました。
「貴重な物って白い手袋をはめるっていう
イメージあると思うんですけど
基本、木彫のお像に関しては素手で。
手袋の繊維が木の表面に
引っかかってしまってはがれるんですよ。
なのできれいな手で、素手で、っていうのが基本で」
そうして慎重に行われた作業は
2体を搬出するのに
4人がかりで
約1時間がかかりました。
その2体と入れ替わって
後期展から展示が始まったのが、
アコーディオンのような形をした
「拍板(はくばん)」と呼ばれる楽器を演奏する南一号と
太鼓を手にした南十四号です。
「(普段)雲中さんは上にいらっしゃるので、
僕らの目線だと見上げて拝まないと
雲中さんは見られない。
でも今回は、すぐ目線の先で雲中さんを
真正面に見て観てもらえる。
なかなか地方の方で平等院に
来られない方もいらっしゃる。
今回そういう方にも届けられたら
本当に光栄な形だと思います」
(平等院・執事 神居俊孝さん)
普段は京都でしか見られない国宝を
間近で見ることができるこの展覧会。
来年1月9日まで開かれています。