eスポーツって最近、よく聞くけど
ビジネスとして
どんな可能性があるんだろう?
こうした疑問に
eスポーツの”ビジネスモデル”の
実例を紹介します。
例は今月21日、県内で行われた
オンラインeスポーツ大会
「撃鯛杯」です。
(愛南町主催、
愛媛県eスポーツ連合が協力)
ポイントは5点。
①若い世代がターゲット
②エリアフリー
③購買へのアクセスが瞬時に可能
④低コスト
⑤モデルの柔軟な応用が可能
①競技は若い女性に人気の「第五人格」
YouTubeで配信された競技画面です。
「第五人格」とは
中国IT大手のネットイースが運営する
スマホゲームで、
バーチャル空間で
”鬼ごっこ”するゲームです。
可愛いキャラクターが
たくさん登場します。
大会の企画・運営には
松山大学の学生が深く関わっていて
大会の盛り上げ、商品の販促に
若い世代の感性が活かされています。
(なぜ大学生が関わっているかは後述)
主催者である愛南町の、最大の目標は
「将来、母親になり
子どもの食生活に
深く関わる若い世代の女性に
マダイの魅力を知ってもらう」。
この難しい目標に挑戦するのが
eスポーツ大会「撃鯛杯」です。
大会終了直後のYouTube視聴回数は、
3.3万回、
競技タイトル(第五人格)の
ファン層から
視聴は若い女性が多かったと
推定されます。
(実際にはこの5倍の視聴回数があった。
理由は後述)
競技の合間に大学生が出演した
マダイの魅力のPR動画が流れます。
(画像はその一部)
テレビCMと同じ手法ですが
視聴層が若い女性に
明確にターゲティングされている点が
テレビと異なります。
大会は
①愛南町と②松山大学、
そして③愛媛県eスポーツ連合の
3者が連携して実施されました。
背景には
『コロナ危機を
地域で協力して乗り切ろう』
その具体的な方法は?という
”真面目”な研究テーマがあり、
どうせなら楽しくやろう!という
”陽気”な
アニマルスピリットがあります。
②愛媛発だが、実は、愛媛発ではない
当日、大学生らが配信管理のため
松山市内の拠点に集まりましたが、
実は、”どこから配信したか”は
明確ではありません。
YouTubeに登場した出演者(競技者)は
当日、誰一人、愛媛にはいませんでした。
(多分、国内のどこかにいるはず
自宅?)
どこにいたか?
どこから配信されたか?は、
あまり重要ではありません。
配信の、本当の意味での”拠点”は
ネットイース内です。
*****
ただ、配信で使用された
愛南町のPR動画は
間違いなく「愛媛産」です。
マダイの美味しさのPR動画は
私が、日ごろ使っている
MacBookProで編集し
(撮影は、オズモポケットを使い
松山市花園町の黒潮亭)
ネットイースにネット経由で送りました。
③YouTubeから直接、
愛南漁協オンラインショップに誘導
ネット配信なので
愛南漁協公式オンラインショップに
競技中、常時、誘導できます。
さらに今回、マダイを使ったカレーが
新発売されるタイミングと
大会日程が近かったため、
大学生らが「第五人格」の
キャラクターグッズを作り、
”おまけ”でプレゼントすれば
大会が盛り上がるのでは?と発案。
ネットイースの了解が得られるとは
最初、到底、思えなかったのですが
若い力が見事、その壁を突破しました。
④コストは数百万円、
イベントや他メディアではまず無理
「撃鯛杯」の費用は数百万円、
そのコストに対するパフォーマンスです。
1.YouTube視聴回数は3.3万回ですが、
実は、大会出場者(出演者)10人は
みんな人気選手(プレイヤー)。
MC2人を加えた12人が
それぞれ個人アカウントから別途、
配信しています。
これらを合わせると、なんと実際には
15万回超の視聴回数がありました。
2.大会前、大会後に
大学生が立ち上げたSNSアカウントで
途中経過や愛南町の観光地、名物などが
大学生自らによって
継続的に発信されています。
3.販売も好調でした。
学生からのプレゼント付きの
マダイカレーは、1回目の在庫が
たちまち売り切れ、
その後、数回、追加発注しました。
このパフォーマンスを
数百万円の予算で達成するのは
従来の他の方法では
なかなか難しいのではないでしょうか。
⑤モデルの柔軟な応用が可能
ただ・・・
eスポーツを使って
地域課題の解決に取り組むという
ビジネスモデルは
モデルとして
他の地域にも流用可能だと思います。
しかし、実際に
「撃鯛杯」モデルを
そのまま当てはめるのは不可能です。
なぜなら「撃鯛杯」は去年、
第一回が開催され、
その教訓をもとに、
アップデートして(修正して)
今年の第二回に臨んでいるからです。
例えば、去年のYouTube視聴回数は
7000回台でしたが、
今回は21倍以上、伸びています。
経験から学んだ”蓄積”が
その背景にあるのです。
地域の課題は地域に根差している
解決策も地域に根差す
つまり、モデルは
一様ではないということです。
1.地域の特性を理解し
2.解決のためにチーム(枠組み)を作り
3.それぞれの得意分野で
4・協力しながら
5.信頼をもとに中長期的に対応する
このモデルが
「撃鯛杯」モデルの核心です。
これはビジネスモデルではなく
どちらかというと
あるべきコミュニティの姿だといえます。