2022シーズン最大の目標は・・・

オピニオン室

昨日開催されたホーム最終戦。

FC今治‐ヴァンラーレ八戸の実況中継が終わった

数十分後にその瞬間は訪れました。

J2リーグの試合で愛媛FCが敗れ

初のJ3降格が決まりました。

FC今治の試合開始から1時間後に

愛媛FCの試合があったので

放送開始前からソワソワしていたら

「あっち(愛媛FC)の事が気になると思うが

こっち(FC今治)の放送に集中するように!」と

Tプロデューサーにくぎを刺されていました。

でも実は実況しながらコッソリDAZN中継で

愛媛FCの試合もチェックしてました。

(ハーフタイム中とかですよ汗)

そのせいでしょうか

言い間違いが多くてお叱りをたくさんいただきました。

諸々反省中です。

愛媛FCは先制したのですが

悔しい逆転負けでの降格決定。

試合の詳細は分からなかったけれど

アウェイ茨城に乗り込んだ愛媛のサポーターが

泣いているシーンを見て

現実なんだと思い知らされた

我々中継スタッフの皆は

口数少なく

ただただモニターを見つめるだけでした。

翻って、今シーズン最後のホームゲームだった

FC今治は素晴らしい試合でした。

3-0の快勝。

J3リーグに降格はありませんが仮想降格圏の

下から4チームを抜け出し

今季最高位タイの11位へ浮上。

(J初ゴール今治出身・近藤選手)

(大怪我から8か月振り復帰でゴール、レオ選手)

上部リーグへのリスペクトを込めて

11位以上に居ることは無意味なことではありません。

矜恃として死守すべきです。

昨日の試合で特筆すべきは

引退表明をしたばかりのDF園田拓也選手です。

現役15年目、37歳に成ったばかり。

この日は今季15試合目で7試合振りの先発。

“最後にサポーターにお披露目を”の温情出場ではなく

敗戦した前節の守備を改善するべく

「勝つための戦力として」橋川監督がチョイスしました。

しかも90分フル出場で

クリーンシート(無失点勝利)に大貢献。

引退する選手がホームラストゲームで、

センターバックという守備の要のポジションで、

フル出場してシャットアウト勝ちって

どんだけカッコいいんですか!

(試合後の園田選手)

「メチャクチャ気持ち良かったですw」

まだまだ出来ると思わせる中で

惜しまれながらスパイクを脱ぐ。

野球で言うと引退試合でホームランみたいなもの。

堀内恒夫とか原辰徳レベルの金字塔です。

「まだハッキリと決まっていないのですが

これまでのJリーグの経験を活かして

若い世代に還元したいです」

次のステージへの夢を教えて頂きました。

チームメイトからもメディアからも親しまれた

心優しきセンターバックが残してくれた惜別のシャットアウト勝利。

またどこかのピッチで再会出来るのを楽しみにしております。

(怪我完治は12月中旬?橋本選手)

あと1試合アウェイ戦が残っていますが

シーズン終盤で橋川新体制になり

超攻撃的なチームに復活して

最後はホーム3連勝でフィニッシュ。

FC今治の2021シーズン

色々あったけど有終の美でホームを締めくくれて

よかったよかった・・・

とはなりません。

“J2昇格”を目標にしていたチームが

ずっと下位に低迷しようやくの11位。

しかも3人も監督が交代した異例なシーズンでした。

新しく里山スタジアムが建設スタートしたという

ポジティブなトピックスだけでは

覆い切れない苦しんだシーズンでした。

愛媛FCと同じように

その要因は一つではありません。

(←今治東サッカー部壮行会もありました)

ただ

なかなか上手く行かなかった事が多かった中で

FC今治の選手たちに感心させられたことが一つあります。

それは3人も指揮官が変わったのに

チームが一度もバラバラにならなかった事です。

コアな部分では同じかもしれませんが

監督によって少しずつスタイルが違いますし

練習方法も全く違います。

先週までやっていた事と

全く違う練習をしているのを何度も見ました。

開始時間、終了時間、マスコミ対応なども

監督が変われば変わります。

チーム不和というのはそういう時に起こりがちです。

そうなったチームを見たことがあります。

でもFC今治の選手は一度もありませんでした(私が見た限り)。

これは中々できることではありません。

特に大人たちの集団において。

会社でも同じですよね。

1年で3回も上司が変わって

その度に言ってる事とやってる事が違う。

私ならやってられません。文句の一つも言うでしょう。

でも彼らはそうじゃなかった。

もしかするとFC今治の

今年一番の収穫は

それではないかと思っています。

ではなぜそれが出来たのか。

「迷った時、上手く行かなかったときに

“岡田メソッド”というプレーモデルに立ち返ることが出来たからです」

(試合後の橋川監督)

橋川監督が明白な答えを出してくれました。

立ち返る場所=“拠り所”

とも言い変えられます。

FC今治の場合はそれがあった。

(残念ながら遅すぎましたが)

愛媛FCの場合はどうだったか。

“拠り所”とはプレーモデル(プレースタイル)だけに限りません。

カリスマ的なトップ、

チームを代表するスター選手、

いつも満席の観客席、

なども“拠り所”になるでしょう。

JFLを優勝しJ2へ昇格した2005年

初めてプレーオフまで行った2015年

過去愛媛FCが輝きを放った年には

そのいずれかがありました。

簡単ではありませんがとても大事な事です。

J3に降格したことはとても悲しい事ですが

愛媛FCが消滅したわけではありません。

「来年は愛媛FCとFC今治の対決が観られる!」

周りのサッカーファンはもう前を向いています。

他にも来年のJ3リーグは

長野ダービー(松本山雅と長野パルセイロ)

福島ダービー(福島ユナイテッドといわきFC)など

ダービー祭り満載で魑魅魍魎感がマシマシな新シーズンと成りそうです。

サッカーがある限り

Jリーグがある限り

その魅力が無くなることはありません。

PS:2022シーズン、個人的な最大目標は

史上初、愛媛FCとFC今治の同県ダブル昇格です!

(両クラブを代表する岡田氏&石橋氏)

 

記者プロフィール
この記事を書いた人
江刺伯洋

江刺伯洋(えさし はくよう)1971年3月1日松山市生まれ。
入社以来アナウンサーとして主にスポーツやラジオを担当。特にサッカー実況は少年からJリーグまで全カテゴリーをこなしてきた。
著書に愛媛FCのJ昇格劇を描いた「オレンジ色の夜明け」、「群青の航海 FC今治、J昇格まで5年の軌跡」がある。【現担当番組】DAZNのJリーグ中継(FC今治、愛媛FC)、ラジオ生ワイド「江刺伯洋のモーニングディライト・フライデー」(毎金曜午前07:15~11:09)など。

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