原油価格の世界的な高騰が続き
暮らしに深刻な影響が出る中、
政府は24日
国が備蓄している石油の一部を
放出すると発表しました。
※詳しくは動画で!
県内は1年半で44円値上げ
資源エネルギー庁のまとめによると、
今月15日時点の
県内のガソリン小売価格は168.9円。
(レギュラー現金1リットルあたり)
この1年半で44円も値上がりしています。
ガソリン価格高騰の理由は、
新型コロナのワクチン接種が進み、
経済活動が世界的に再開し
原油需要が増えたためなどと
言われています。
県内からも悲鳴の声
ガソリンのほか、
冬場の暖房に使われる灯油も
高騰しています。
これから寒さが本格化するため
県内では悲鳴の声が聞かれます。
①宇和島市の宅配業関係者
「配送はガソリン車を使っている。
特に9月か10月あたりから
『高いな』と感じていた。
親会社から荷物1個につき
100円~160円の単価で
配送を請け負っていて、
今回のように
燃料費が高騰した時には単価を
10円ほど増額してもえることも。
しかし、実際はそれでも経営は苦しい」
「例えば、3人のお客さんを乗せると
乗船料の約3分の1が
燃料費で消えてしまう。
ガソリン高騰は大きな打撃」
政府が備蓄石油を放出へ
こうした中、政府は価格を抑えるため
石油備蓄の一部を放出すると発表しました。
岸田首相
「現行の石油備蓄法に反しない形で、
国家備蓄の一部を
売却することを決定した」
総務省によると、9月末時点で
国は145日分の石油を備蓄しています。
(石油の備蓄基地は全国10か所。
うち1か所は今治市に所在)
今後、政府は事実上の価格抑制策として、
国が備蓄している油の
入れ替えの一環として、
数日分の消費量にあたる
数十万キロリットルを
前倒しして売却します。
備蓄放出による今後の
ガソリン価格などへの影響について、
石油情報センターは
供給量が増えることで
価格については、一度は
若干、下がるという見通しを示しています。
しかし、放出量には限界があり、
産油国が供給を減らす可能性もあるため、
「下げ方は限定される」との見通しです。
備蓄石油放出に県民は…
今回の政府の決定に県民は…
①宇和島市の運送業関係者
「末端の販売価格が
安くなるのであれば歓迎したい。
しかし、ガソリン税を減税すれば
生活はより助かります。
希望を言えば、1リットルあたり
20円程度引き下げてほしい」
②松山市の遊漁船経営者
「備蓄燃料の放出は、一時的な
高騰抑制にはなると思う。
けれど、燃料費には
ガソリン税+消費税の
ダブル課税の問題がある。
このほか
輸入→石油精製→販売の過程での
根本的なコスト削減も課題。
今回の燃料費高騰問題を機に、
こうした問題が議論され、
是正されてほしい」
いわば政府による
“原油価格への市場介入”ともいえる
対応への期待の声がある一方、
減税にも踏み込んでほしいとの意見は、
価格高騰が深刻な影響を与えている
事業者らの不安を映しだしています。
今後、政府の石油放出が
実際に販売価格に
どのような影響を与えるのか。
師走を迎え、人や物の動きが活発化し、
気温が下がり、暖房の使用が増える中、
依然、警戒を怠れないコロナ対策に加え、
原油価格にも目配りが必要な
政府にとっても、国民にとっても
厳しい冬となりそうです。