ニンスタピッチの内側と外側で

オピニオン室

まず県総合運動公園

ニンジニアスタジアムの

ピッチ内側で行われたのが

昨日の愛媛FC戦です。

結果はご存じのとおり

まさかの逆転負け(1-2相模原)。

リーグ戦残り3試合という最終盤で

残留争い同士の直接対決だっただけに

ショック過ぎて

未だに受け入れられません。

気持ち悪い夢で目覚めたのは

そのせいでしょうか。

残留か、降格かで

ザワつき始めた数か月前から

昨日のカード、愛媛FC対SC相模原戦は

注目されていました。

22チーム中19位以下の4チームが

降格するJ2リーグで

21位の愛媛と20位相模原の残留争い

直接対決。

試合開始前から会場のあちらこちらで

「天王山やね~」「もう後がないけんね」

「絶対に勝たんといかん!」

という声が飛び交っていました。

キックオフ直前

選手と同じく

大きなプレッシャーを背負っていた

愛媛FC・村上忠社長。

先週、チーム練習に訪れ

直接選手たちに激励。

試合直前のアップでも

円陣に加わるなど

選手達と同じように戦ってました。

「やることはやりました。

心境?もう、

信じる!信じる!信じる!

それだけ!」

大一番を前に関係者席には愛媛FC・OBや

日本サッカー協会の重鎮なども来場。

この試合の重要さを物語ってました。

駐車場もトイレも

これまでにないくらいに

混んでいたので

愛媛FC最大の危機に

今シーズン最多のお客さんが

来てくれたんだ!と思っていたら

昨日の入場者数2,992人は

今季最多ではありませんでした。

(最多は36節対京都の3,369人、

最少は6節対群馬の826人)

愛媛FCの観客数と勝敗の相関関係は

わからないですが

お客さんは多い方が

もちろん良い訳で

(ただ愛媛FCはお客さんが多いと

勝てない傾向がある泣)

個人的には5,000人は

下らないだろうと思っていただけに

ショックでした。

逆転負けの事実と同じく

愛媛FCの持つ課題は

ピッチ内外で山積しています。

「痛い目にあって目を覚まさせるためにも

一度J3に落ちたほうがいい」

メディア内でも

辛辣な声を聞くことがあります。

が私は絶対に反対です。

J2より下のJ3リーグが

痛い目にあわせるための

期間限定の“懲罰リーグ”だ

と思っていたとしたら

それは大変な間違いです。

この2年間、J3リーグを

間近で観てきたので良くわかっています。

J3程、魑魅魍魎が

跋扈するリーグはありません。

一度落ちたら蟻地獄。

舐めてかかると

とんでもないことになります。

最終結果によっては

J3→J2への昇格チームが

2つから1つになり

J2→J3の降格チームが

4つから3つに減るという

ギリギリJ2の19位が残留できる

“蜘蛛の糸シート”に

賭けるファンもいます。

(J3の宮崎はJ2ライセンスが無いので

2位以内に入っても昇格出来ない)

しかし昨日の結果で

J3首位だった宮崎が2位に落ち、

3位のいわてとの勝点差も

わずか1になりました。

もし宮崎が3位に落ちると

頼みの“蜘蛛の糸シート”が無くなります。

わかりますか?

リーグをまたいでの

星勘定になるので

ややこしいですよね汗。

ホント蜘蛛の巣が絡んだようで

難しいのですが

そこがまたJの醍醐味。

これだけはシンプルに言えます。

愛媛FCは降格に近づいたけれど

決まったわけではない。

逆転残留に向けては

残り2試合を連勝する。

後はサッカーの神様の

ご機嫌次第ってことです。

大袈裟に聞こえますが

この現状は

愛媛FCがリーグ16年目にして迎える

最大の危機ではありません。

愛媛サッカー界の、

いや愛媛スポーツ界の

ターニングポイントを迎えている

と言っても

過言ではありません。

一方、

一昨日、ニンジニアスタジアムの

ピッチ外側では・・・

400mトラックを使って

中学生ランナーが健脚を競う

『愛媛県中学校・長距離継走

(けいそう)大会』が開催されました。

コロナ影響で密にならないようにと

一昨年まで開催されていた“中学駅伝”を

新居浜会場ではなく

ニンスタでルールを変えてやりました。

チームで走り襷を繋げるのではなく

個別に走り

合計タイムで勝敗を決めるスタイルに。

ザックリいうと箱根駅伝の

予選会みたいなイメージですね。

今年は2年振りに

全国大会(12/19滋賀県)が

開催されるということで

南海放送Fnamラジオで

生リポート中継しました。

男子45チーム、

女子42チームの計47校が参加。

男子は川東中学が26年振り2度目、

女子は城南中学の初優勝でした。

観客数が制限されたり

大会ルールが変更されたり

一番振り回されたのは中学生たちですが

どんなルールになっても

柔軟にアジャストして

全力で取り組んで、

全力でチームメイトを応援する姿には

毎度、感心させられます。

優勝インタビューでも

「(今一番食べたいもの?)

どら焼き―ーー!!」

と大きな声で元気よく答えてました。

中継体制が変わって準備が大変になり

コロナに文句ばっかり言ってたのは

我々大人たちだけ(ほぼ私)で

全力を出し切って

思いっきり青春を楽しんでいた中学生たち。

ニンジニアスタジアムという同じ場所で

競技も年齢層も全く違う

二種類のスポーツに接したこの二日間。

ピッチ内側からは

アスリートの

“過酷さ”と“冷酷さ”を知り

外側からは

その“清々しさ”と“朗らかさ”を

教えてもらいました。

記者プロフィール
この記事を書いた人
江刺伯洋

江刺伯洋(えさし はくよう)1971年3月1日松山市生まれ。
入社以来アナウンサーとして主にスポーツやラジオを担当。特にサッカー実況は少年からJリーグまで全カテゴリーをこなしてきた。
著書に愛媛FCのJ昇格劇を描いた「オレンジ色の夜明け」、「群青の航海 FC今治、J昇格まで5年の軌跡」がある。【現担当番組】DAZNのJリーグ中継(FC今治、愛媛FC)、ラジオ生ワイド「江刺伯洋のモーニングディライト・フライデー」(毎金曜午前07:15~11:09)など。

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