新型コロナで変わる仕事の形

オピニオン室

新型コロナは私たちの暮らしに
様々な影響を与えました。

居酒屋グループが雑貨店を経営

ことし5月、道の駅ふたみ(伊予市)に
雑貨店がオープンしました。

ターゲットは子どもから高齢者まで、
幅広い世代に設定。

スニーカーや手作りタワシなど、
さまざまな商品を揃えています。

実はこの店、松山市の
居酒屋、艶吉グループが経営しています。

ナゼ居酒屋が雑貨店?

大野一誠社長によると、
飲食店の営業時短要請などで
グループ全体の売上は、一時
2、3割にまで落ち込んだといいます。

このため8店舗中、2店舗が
休業を余儀なくされました。

「コロナ禍が1、2年と続き、
なかなか飲食だけでは厳しいと感じ、
新しいジャンルに
チャレンジしようと考えた」(大野社長)。

雑貨店立ち上げで、
中心的役割を果たしたのが
グループ内の
アパレル業界の経験があるスタッフでした。

「今回の経験で、スタッフの
飲食のスキル以外に注目する
きっかけになりました。
それぞれが好きなジャンルで
ビジネス化出来そうなことが
あればやってみたいです」
(大野社長)

コロナをきっかけに
共に仕事をする“仲間”について
深く考えるようになった大野社長。

“人材”は、まさに“人財”でした。

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車の営業マンが遊漁船の船長に

松山市の北条港を拠点に、
ことし7月に誕生した遊漁船
“風早ファミリーフィッシング”です。

「今の時期はタイラバという仕掛けで
マダイがよく釣れます」

こう話すのは、
船長の野津研二さん(43)です。

実は野津さん、約20年間
地元の自動車販売店で
営業の仕事に就いていました。

言わば、脱サラ組。

数百万円もする遊漁船を購入し、
第二の人生を歩もうとした理由は…

「元々、海釣りが好きだったので、
定年のあとに何か海の仕事に
就こうと考えていました。
しかし、コロナで
アウトドアレジャーが注目され、
生き方を見つめ直す機会になった。
その結果、家族との時間を
増やしたいとの思いが強まり、
思い切って転職することにしました」。

野津さんの場合、元々の転職願望が
新型コロナで早まったといえます。

営業職の経験は、遊漁船でも
いかんなく発揮されています。

この日のお客は、
船釣り初挑戦の女性2人を含む4人。

派手な宣伝広告は行っていませんが、
これまで培ってきた人脈や口コミで
お客がやってきます。

漁場に到着すると、船釣りの方法を
優しくレクチャーします。

すると…

次々とマダイがヒット!

お客さんも大満足です。

「乗船客全員に気を配って
もらっているので、
小さい子を連れてきても
安心安全で釣りが出来ます。
コロナ禍でなかなか
遊びに行けないですが、
海の上なら密にならないので安心です」
(お客)。

コロナで気付いた“自由な生き方”

コロナを機にスタートした
柔軟で自由な生き方は、
私たちに
勇気や希望を与えてくれる気がします。

記者プロフィール
この記事を書いた人
中武正和

1975年11月松山市生まれ。南海放送南予支局(宇和島駐在)記者として一次産業を中心に様々な話題を取材。西日本豪雨は発生時から被災地で取材活動に従事。2021年4月から県庁担当記者。南予・東予から届く支局の話題を分かりやすく解説します。

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