“里山ワイン”で祝杯を

ニュース解説

開口一番。

“メチャクチャ面白いサッカーになって

私を含めDAZN中継スタッフ皆が

今のFC今治を見るのが楽しいと言ってます!”

と挨拶すると

「そうだろ~」

ニンマリと笑い誇らしげな顔はFC今治会長・岡田武史さん。

今日はニュースCh4の企画取材に青木ANのフォローとして

地鎮祭を明日に控えた新スタジアム建設予定現場にお邪魔しました。

(企画は明日放送)

「橋川(監督)に変わって2試合共内容は良かったんだよ。

でも昨日は内容も結果も良かった!」

監督が3人も変わるなど

随分長い間迷走していたFC今治は

昨日のリーグ戦で

新体制となってようやく初勝利。

しかも“岡田メソッド”と言われる

独自のスタイルを貫いた上での快勝(FC今治4-2カターレ富山)。

これで最下位ともオサラバ(現在13位)。

J3リーグは降格が無いにもかかわらず

チームオーナーである岡田さんが

トップチームの成績を早急に改善したがったのは

新スタジムの着工が近づいていた事と無関係ではありません。

現在のありがとうサービス.夢スタジアムはJ3規格(約5000人収容)なので

J2昇格には1万人収容の新しいスタジアムを建設しなければいけません。

FC今治は今シーズンでのJ2昇格は既に消滅。

そんな中、いよいよ新スタジアムの地鎮祭です!って時に

新体制未勝利のまま、最下位のまま

このビッグプロジェクトがスタートとなると

市民、県民にあわせる顔がありません。

たった1勝とはいえ素晴らしい内容で勝利できたことは

今の岡田さんにとって朗報以外なにものでもありませんでした。

 

「やっぱり連敗のまま地鎮祭だと株主に何言われるかw

ホント、ホッとしています」

新スタジアムの名称は“里山スタジアム”(詳細はクラブHP)。

作ったらコンクリートが朽ち果てるだけ

年間約30日、試合のある日だけ使用する

そんなそんじょそこらのケチなスタジアムとはわけが違います。

目指すのは365日人が集まる

ここに来れば心の拠り所になる

心が豊かになる

それが新スタジアムのコンセプトです。

「スタジアム建設費は40億です。

とんでもない金額で正直集められるか自信が無かったけど

借入金も含めてなんとか皆さんに出資頂けました」

この新スタジアムは1つのオーナー企業が作るものでもなく

自治体が作るものでもありません。

FC今治のクラブ・フィロソフィに賛同した人達(企業)

皆でお金を出しあって作るものです。

そんなスタジアムは聞いたことがありません。

日本初です(おそらく)。

 

にしても

この“とんでもない金額”を

知名度のある岡田さんとはいえどうやって集めたのか。

キーワードは“ストーリーを作る事”だと

岡田さんは言います。

ラスベガスは元はただの砂漠でした。

そのままだと誰も出資してくれません。

そこにカジノやホテルを作り、

そこで働く人たちのコミュニティも作る

どこにもない世界初の社会を作る。

そういう“ストーリー”が出来た時に出資してくれんだと言います。

「だからこの場所もサッカースタジアムだけじゃありません。

観客席も“可変式”で最初6千で

J2、J1に上がった時は

バックスタンドとゴール裏は

1万人、1万5千人に簡単に増築できるようにします。

グラウンドの周りは普通駐車場にするんだけど

ウチは違います。

周りには宿泊施設や障害者の通所施設を作ったり

学童保育が出来るスペースやヤマハ音楽教室の部屋があったり。

こっちにはバーベキューコーナーやドッグラン…

あと向こうの土手は畑にして皆で作物植えたり。

ここはもうブドウの苗を植えてるんだけど

実が出来たらワインにするつもりです。

私が飲むために。違うかw

専門家に聞いたらここの土地はブドウ作りに合ってるって。

あと“1バリィ”っていってここで使える仮想通貨もやりたくて…」

他にもメディアルームやVIPルームは

試合の日しか使わないのはもったいない

平日はスタッフルームとして使用するんだ

PCだけ移動すれば簡単にできるんだよ…

こうなると岡田さんの自称“妄想話”は止まりません。

最後に

こういうこと話していいのかな…

と言い始めた岡田さんの言葉が印象的でした。

「資本主義って行き詰まってるよね。

格差があるのはしょうがないけど、

下が0(ゼロ)に近づいてる。

この豊かな日本でご飯食べられない子供がいる。

自爆テロを“ジハード”っていって宗教の為っていうけど

裕福な人はやってない。

…そういう意味で“下”を上げないといけない。

FC今治のコミュニティに入ると衣食住を保証する。

その為に子供食堂もやりたいし、

余ってる服をみんなで持ち寄ったり

空き家を修理して住んでもらう。

サッカーだけじゃなくこういうことを

Jリーグ全部でやると国が変わるかもしれない。

それができる拠点にしたいんです。

ここを」

 

また私の妄想が出てきてますけど。

と照れたように笑った岡田さん。

彼と話をするといつも面白すぎて

グイグイ引き込まれてしまう。

それが“人たらし”岡田武史の真骨頂。

7年前、

FC今治に来て最初にインタビューした時もそうでしたが

どんだけ大風呂敷を広げようとも

“ああこの人なら実現するだろうな”となぜか思わせてくれます。

新スタジアムの斜面で育ったブドウが

美味しいワインに生まれ変わった頃

是非、J1昇格の

いやJ1優勝の祝杯を県民皆であげたいものです。

尚、竣工は2023年1月の予定です。

 

 

記者プロフィール
この記事を書いた人
江刺伯洋

江刺伯洋(えさし はくよう)1971年3月1日松山市生まれ。
入社以来アナウンサーとして主にスポーツやラジオを担当。特にサッカー実況は少年からJリーグまで全カテゴリーをこなしてきた。
著書に愛媛FCのJ昇格劇を描いた「オレンジ色の夜明け」、「群青の航海 FC今治、J昇格まで5年の軌跡」がある。【現担当番組】DAZNのJリーグ中継(FC今治、愛媛FC)、ラジオ生ワイド「江刺伯洋のモーニングディライト・フライデー」(毎金曜午前07:15~11:09)など。

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