被災地で次の100年へ・・・養老酒造

ニュース解説

西日本豪雨で大きな被害を受けた
大洲市肱川町の養老酒造が今月、
創業100周年を迎えました。

これを記念して、
新たに、こだわりの日本酒が誕生。

豪雨に負けず、次の世代へと受け継がれる
酒蔵の姿を取材しました。


西日本豪雨から3年 復興を果たした養老酒造

西日本豪雨で酒蔵が3メートル浸水 

養老酒造の100周年記念酒は
『共』(とも)と名付けられました。

  

「豪雨では酒蔵が3メートルも浸水する
大きな被害を受けた。
しかし、全国から駆け付けてくれた
災害ボランティアや地元の人々に
助けてもらったおかげで復興できた。
そこで地域と“共”にという気持ちを込めて
名付けた」(3代目山内光郎社長)。

養老酒造にとって、この3年間は
西日本豪雨からの復興のための
3年間でした。

壊れた酒蔵を修復し、
酒造りを復活させ、販売する。

当たり前だった日常を取り戻す
3年間でもありました。

歴史を受け継ぐ4代目

そんな養老酒造に頼もしい助っ人がいます。

町外で働いていた息子の倫太郎さんが、
豪雨のあとにUターン。

両親とともに酒造りを復活させようと
4代目に名乗りをあげたのです。

父・光郎社長から日々、
酒造りの知識と技術を学んでいます。

100周年の記念酒について、
倫太郎さんは
「これからも肱川町で
酒造りを続けていくという、
決意表明の意味を込めた」。

記念の酒に、こだわりの製法

記念酒造りで、養老酒造は
手がけたことの無い
新しい製法に挑戦しました。

通常、圧搾機という特別な機械にかけて
一度にたくさんの量を造りますが、
今回は“袋しぼり”という方法で
ゆっくりと搾りました。

「機械で圧力をかけないので、
まったりとまろやかな酒が出来ます。
香りも程よく、記念酒には
ピッタリの方法です」
(山内光郎社長)

さらに、
酒の入ったビンを温める“火入れ”という
方法をとった酒と
火入れをしない生酒とを飲み比べ、
どちらが味に深みがあるかを確かめました。

試飲の結果…

“火入れ”の採用を決めました。

「うちのこれまでの酒には無いような
独特な香りがあった。
角が取れて丸みを帯びた、
とてもおいしい酒に仕上がりました」
(4代目山内倫太郎さん)。

納得の酒に花を添えるのは、
可愛らしい“おちょこ”

実はこれ、酒蔵と同じ100年の樹齢の
ヒノキから削りだされた特注品で、
「100年の歴史を感じてほしい」という
山内社長のこだわりです。

「100年かけて築いた歴史を大切に、
これからの101年目も着実に、
一歩一歩やっていこうと思います」

山間の町に息づく酒造りの伝統。

これからどんな酒が生みだされるのか。

次の100年に期待が高まります。

記者プロフィール
この記事を書いた人
中武正和

1975年11月松山市生まれ。南海放送南予支局(宇和島駐在)記者として一次産業を中心に様々な話題を取材。西日本豪雨は発生時から被災地で取材活動に従事。2021年4月から県庁担当記者。南予・東予から届く支局の話題を分かりやすく解説します。

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