60歳で定年退職をして、そこからまた新卒として、就活しなければならなくなる?
◇人生は100年
近年話題になった本「ライフシフト100年時代の人生戦略」。長寿化が進み、人生100年以上生きる時代をどう過ごすかという内容で、たとえば2007年生まれの半数は、107歳まで生きるというデータも示されていて衝撃を受けたものです。
去年、政府が「100年時代構想会議」をたちあげたこともあり、私たちが子供のころ描いていた不老不死時代がもはやファンタジーではない、現実であるということに気が付きます。
◇100年をどう生きる?
人生60年~80年と言われていた日本人の多くは、学生(勉強ばかり)→社会人(仕事ばかり)→定年後(暇ばかり)の3分割人生を歩んできました。それが定年後も30年~40年の人生がある。もう1クール、新卒~定年コースが歩めそうなくらいです。
先日、日本のキャリアコンサルタントの第1人者である臨床心理士、キャリア心理学研究所代表・宮城まり子さんの勉強会が松山市で開かれました(主催:サクセスブレーンズ松山)。
テーマは「人生100年時代の生涯育自とキャリアサポート」です。
キャリアコンサルタントというと、これまでは会社などの組織内でのキャリア支援が中心でした。これから100年時代になると、長い人生を見据えた「生涯キャリア」へのサポートが必要になってきます。60歳の定年後、新しいことを始めたり、介護をしたり、子や孫の育児支援だったり、ボランティアに費やす時もあるし、勉強を始めたり、起業するかもしれない・・・生きる時間はたっぷりあるのですから、たくさんの選択肢(キャリア)の中から、自分が大切にしたいものは何か、どう生きたいのかを自分で選び組み立てる時代になっているということでした。
宮城さんは、多くの企業で、定年退職後も雇用延長で働く人に、その理由を尋ねたそうです。圧倒的に多い答えが「ほかにすることがない、家にいても妻から疎まれるから」。
たしかに、いまの60代は、仕事はがむしゃら、定年後はゆっくりと、の人生設計が体に刷り込まれた世代。それがいきなり人生100年、あと40年は自分で考えなさい、と言われても戸惑うでしょう。
◇自分の活かし方を考える
宮城さんは、これからの生き方として、生涯にわたって自分は何をするかを、いつも考えておく必要があると言います。組織にいたときのように、誰かが何かを指示してくれて、自分を活かしてくれる、ではなく、自分が学んで自分で自分の活かし方を、生涯切り開いていくことが大事、と言います。
翻って、いつからでも、新しいことを始められるということ。
40歳だから、50歳だから60だから、と自分の年齢を言い訳にすることなく、50歳で失敗しても60でやり直せるし、90歳で大一番になるかもしれない。人生のピークはまだこれから。
そんなことを思うと、受験・就活に失敗した、とか、会社の中で出世がどう、左遷がこう、なんて、人生のごく一部分にすぎないと感じます。
100年を、長すぎる、めんどくさいと考えるのか、したいことすべてやってみよう!と捉えるのか。感じ方さえ「自分が選ぶ」のですから、このあたりで一旦、あと50年の自分の設計図を見直してみようか…。