コロナ急拡大“医療的な緊急事態宣言”も

オピニオン室

今月4日、
県内の医療機関の責任者らが
緊急の記者会見を開き、
感染拡大が続く
新型コロナの危機を訴えました。

“医療的な緊急事態宣言”も視野

県医師会の村上博会長は
「東京で起こっていることと
同じことが少し遅れて、
必ず愛媛県で起きる。
クラスターの発生が相次ぎ
県内の医療が
ひっ迫するのではないかと
心配している。
今の状況が続き、一般診療を
縮小せざるを得なくなれば、
県に緊急事態宣言が
出ていなくても、
医療従事者が自主的に
医療的な緊急事態宣言を
行うことを視野に入れている」
と述べ、危機感をあらわにしました。

危機感を抱く医療機関

県内では今月5日時点で
医療機関の入院患者は87人。

宿泊療養施設には
70人が入っています。

すでに南予では
一部の医療機関で
コロナ病床が満杯となり、
近隣の医療機関に患者を
振り分ける事態に陥っています。

医療のひっ迫は、
県内の一部地域では
すでに現実に
”実現”してしまっているのです。

重症患者以外の対応は…

政府は
医療のひっ迫を理由に、
重症患者のみを入院させ、
中等症や軽症状者は
全国一律で
自宅療養させるとの
方針を一旦、発表しました。

この方針を巡っては
与党内でも批判が相次ぎ、
その後、
全国一律ではなく、
中等症も原則入院へと
軌道修正されました。

この「中等症患者らを
一律、自宅療養させる」との方針に
県医師会の村上会長は
今月4日の会見の席で、
「私は非常に心配している。
愛媛県としてはすぐには採用しない。
出来るだけ入院治療を行っていく」との
見解を示しました。

必要な人に
必要な医療を提供するには…

感染力は
従来株と比べて約2倍とされる
デルタ株によって
一気に拡大した新型コロナ。

県は
▼夏休みや
お盆休みを利用した帰省、
県外への旅行を控える。

▼同窓会は見送ってほしい。

▼最近の事例には
感染対策をおろそかにしている
飲食店での感染が散見され、
会食のルールを守り、
利用者自身が
感染対策のとられた店を選んでほしい。
などと呼びかけています。

政府は7月にも
「飲食店に対する
酒の提供停止要請について、
応じてもらえない店の情報を
金融機関と共有しながら
要請を守るよう
働きかけてもらう」とする方法が
大きな批判を浴びて
撤回に追い込まれました。

今回も
市民目線を欠いた
腰の定まらない方針が
説明不足の面はあったとはいえ
結果的に、
大きな不信感を残すかたちに
なったように思います。

愛媛県は
合理的で現場の実情に即した、
しっかりとした
感染防止策と治療方針を持って
これまでにない規模で襲ってくる
新型コロナに立ち向かう必要があります。

記者プロフィール
この記事を書いた人
中武正和

1975年11月松山市生まれ。南海放送南予支局(宇和島駐在)記者として一次産業を中心に様々な話題を取材。西日本豪雨は発生時から被災地で取材活動に従事。2021年4月から県庁担当記者。南予・東予から届く支局の話題を分かりやすく解説します。

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