猛暑の中、にぎわう不思議な酒屋さん

オピニオン室

先週末の30日(金)、31日(土)、
真夏の太陽が照り付ける
倒れそうな暑さの中、
私の自宅の近所の酒屋さんに
ゾロゾロと主婦や家族連れらが
集まっています。

◆近所の酒屋さんが猛暑の真昼間、
にぎわっている!

のぞいてみると・・・。

クラフトビールTAKE OUT 2DAYS

私はクラフトビールを
飲んだことがありません。

どうやら
その場でカップに入れてくれたり
ペットボトルなどに入れて
量り売りもしてくれるようです。

「ペットボトルにビール入れて
大丈夫なんかなぁ~」(私)と
思いましたが、お客が絶えないのです。

この女性は近所に住んでいるそうですが
持ち込んだ瓶に
クラフトビールを詰めてもらい、
これからビール飲みながら
オリンピック観戦するとのこと。

「それ最高じゃないですか!」(私)。

もう何度も来ているという男性も・・・

瓶詰めしてもらっていました。

それなりの値段ですが・・・

ひっきりなしにお客がやってきます。

親子でやってきて
子どもはジュース、
親はビールというのもあります。

「クラフトビールというのは
そんなに美味いのかな?」(私)。

飲んでみました。

「おっ!なかなか美味いぞ」(私)。

顔を近づけた段階で
甘夏の香りがします。

フルーツの香りがする
ビールなんて・・・と思う方も
いるかもしれません。

しかし、
甘夏特有のさっぱりした苦みが
ビールになじみ、
微妙な甘みも加わって、いい”塩梅”です。

後で確認したところ、
2日間で用意した量は完売、
カップ換算で150杯、売り切ったそうです。

◆ネット販売全盛に背を向け、
 コロナ時代に独自路線

『酒忠 橋之介』(松山市北持田111ー1)を
経営しているのは髙橋賢輔さん(43)、
幸子さん夫婦。

髙橋さんは酒の業務卸会社で
サラリーマンをしていましたが、
31歳で独立、
松山市花園町で酒店を開きました。

当時、現在の店舗の隣の
一戸建てを借りて住んでいましたが
偶然、隣が売り物件として出たため、
3年前に店舗兼住宅として購入し、
以来、この場所に店舗も移し、
酒屋を経営しています。

独自路線①
目指せ!サザエさんのサブちゃん

経営の基本は、
寄り道して楽しい酒屋さん路線です。

配達もしてくれます。

正直、私は野菜の値段が
分からないのですが、
こういう風景に出くわすと
見てしまいますし、
美味しいのかな?と
思ってしまいますし、
時々、買ってしまいます。
(酒を買ったついでに枝豆とか・・・)

独自路線②
自分が味見し、いい酒を勧める

1階の奥には半地下になった酒蔵があり、
ここにウイスキーや日本酒、ワインなどが
置いてあります。

なんと!ここでは
ウイスキーを試飲させてくれます。

私は初めて訪れた時、
ちっちゃなカップで
5~6種類のウイスキーの
シングルモルト、
ブレンディッドを飲ませてもらい
ヘロヘロに酔っぱらってしまいました。

ワインも自分で飲んで
確かめたものを置いています。

値段も1,000円台を中心に
勧めてもらえますので安心です。

◆歴史的逆風の中、地域に”愛されたい”

コロナ禍で
飲食店には歴史的逆風が吹き、
業務用卸も手掛ける髙橋さんも
「もともとインターネットで
お酒が買える時代になって
苦しかった上に
コロナでそれが加速され、
最悪時には売り上げが9割減った」と
いいます。

そんななかで目指すのが
個人客に来てもらう、
地域で愛される酒屋さんです。

そもそも、これほど
住宅街のど真ん中にあること自体、
その決意の表れだと感じます。

◆通えば”掘り出し物”に出会えるかも・・・

もともとは業務用向け売り上げが
9割を占めていたそうですが、
この場所で、
個人向け販売に力を入れ
個人向け売り上げが2割程度にまで
上昇したといいます。

しかし、「このやり方で、
ご飯が食べられるまでにはなっていない」
(高橋さん)といいます。

*****

先月、私の誕生日に
「なにか美味い酒でも飲もうかな」(私)と
店に行ったところ・・・

こんな国産モルトに出くわしました。

「なに~~~!!」(私)と
ビックリして
「なんで、こんなところに
こんな貴重品があるんですか?」と
たずねると、
「普通は、うちには回ってこないんですが、
今、コロナで飲食店の需要が減ってるんで、
ここにやって来ました」といいます。

「コロナによる”需要の蒸発”は
こんなところにも
影響を与えているんだな」(私)。

「記者と一緒で
足しげく通えば、
いいネタに出会えるもんだ」(私)。

頑張れ!町の酒屋さん。

記者プロフィール
この記事を書いた人
三谷隆司

今治市出身(57) 1988年南海放送入社後、新居浜支局、県政担当記者を経て現在、執行役員報道局長・解説委員長。釣りとJAZZ、「資本論」(マルクス)や「21世紀の資本」(ピケティ)など資本主義研究が趣味。

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