コロナで明暗 観光客数↓移住者数↑

オピニオン室

新型コロナで変わったのが
“人の流れ”です。

去年、県内を訪れた観光客数は、
平成11年以降
最も少なくなった一方で、
昨年度の移住者は
過去最多を記録したのです。

県外観光客数は700万人

   資料 道後周辺の観光客

県のまとめによりますと、
去年1年間に
県外から訪れた観光客数は、
前年より38.0%少ない
698万4000人でした。

これは
平成11年以降
最も少ない人数です。

昨年度の移住者数は2460人

一方、昨年度の移住者数は
前の年度より29%増加し
過去最多の2460人となりました。

観光客数↓移住者数↑ 原因はコロナ

明暗が分かれた二つのデータについて
県は新型コロナが原因だと
分析しています。

観光客数が
減ったことについて県は、
コロナによる外出自粛と
施設の臨時休業を挙げた上で
「ワクチン接種が進んでいく中、
即効性のある対策や
マイクロツーリズムなどを
うまく取り入れながら、
早期回復を目指していきたい」と
しています。

一方、増加した移住者数について
中村知事は、
6月14日の定例会見で
次のようにコメントしています。
「本県の移住者も
8月から8カ月連続で
前年を上回る状況になっています。
都市部で高まった移住ニーズを
受け止められているのかなと思います。
この流れは今後も続くと思いますし、
働き方改革が進むことによって、
より一層チャンス、
地方にとってはチャンスが
来ると捉えています」

県内、人気の移住先は?

移住先数が多い順にみると、
1 松山市(726人)
2 今治市(685人)
3 西条市(240人)
などとなっていて、
移住者に占める、この3市の割合は
7割近くになります。

そうしたなか、去年7月に
大阪から今治市の大三島に
移住した人がいます。

移住を機に新たなビジネスを

平松勝義さんは、
(ひらまつ・かつよし)
ことし3月から
手作りの
レモンコーディアル(シロップ)専門店
“果輪弥”(かりんや)を
オープンしました。

平松さんは
元々大阪でインテリアデザインの
事務所を経営していましたが、
コロナをきっかけに
大阪の事務所を残したまま、
家族で移住。

移住先の大三島で
インテリアの仕事を続けながら、
新たなビジネスを立ち上げたのです。

移住からちょうど1年。

平松さんは
「自然豊かで島民の人達も温かく、
食べ物も美味しくて、
毎日楽しく快適に過ごせています。
自治会や消防団などにも参加して
地域交流も楽しんでいます。
島なので橋代などの交通費や、
配送料、日用品、
お酒など物価は
高く品数も多くありません」と
島での暮らしの楽しさや
大変さを語ります。

レモンを使った
新ビジネスについては…
「瀬戸内レモンの
美味しさに触発されて、
しまなみ海道とレモンと関連する
何かをしたいと考え、
サイクリストに提供できる
健康に良い飲物をと
コーディアル作りを始めました」
と話していました。

コロナの影響に左右される
県外からの人の流れ

愛媛の観光地では、
県内の感染状況が
比較的、
落ち着いていることなどから
特に道後温泉周辺で
観光客が戻りつつあり、
ホテルの宿泊予約も
回復傾向にあるといいます。

観光による交流人口と
愛媛で新たな生活を始めてもらう
移住者。

2つの視点での
魅力発信が求められます。

記者プロフィール
この記事を書いた人
中武正和

1975年11月松山市生まれ。南海放送南予支局(宇和島駐在)記者として一次産業を中心に様々な話題を取材。西日本豪雨は発生時から被災地で取材活動に従事。2021年4月から県庁担当記者。南予・東予から届く支局の話題を分かりやすく解説します。

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