西日本豪雨3年 地域防災の要“消防団”

オピニオン室

3年前の西日本豪雨で
その存在に注目が集まったのが、
消防団の活動です。

風水害や
南海トラフ巨大地震など
愛媛が直面する災害への対応に
期待が高まる一方で、
ある課題も抱えています。

豪雨の朝

 

  2018.7.7早朝の明間地区

西日本豪雨の際、
私は西予市宇和町明間地区を
取材しました。

そこで目の当たりにしたのが
‘明間消防団’
(西予市消防団下宇和分団第2部)
の活動です。

豪雨のなか、団員らは明け方から
▼住民の避難誘導(安否確認)、
▼危険か所のパトロール、
▼物資の搬送など
様々な任務をこなしていました。

34時間孤立 明間地区

明間地区は午前6時半前後に起きた
県道29号の土砂崩れで、
西側の宇和町中心部、
東側の野村町との道が寸断。

約34時間、孤立状態となりました。

そんななか、消防団員らは
病気療養中で
酸素吸入用のボンベが必要な高齢者に
土砂崩れ現場の外から徒歩で
ボンベを送り届けるなど、
住民の命を守ったのです。

キラリ光る消防団活動 課題も…

豪雨では明間地区以外でも
県内全域の消防団が
救助活動などに存在感を示しました。

しかし、頼りにされる消防団ですが、
全国的に担い手不足という課題に
直面しているのです。

総務省消防庁HPによりますと、
昭和29年度に全国で
200万人以上いた消防団員ですが、
その後は減少の一途をたどり
平成2年度には
半分の100万人を割り込み、
平成29年度には
約85万人となりました。

団員減少の主な理由は、
▼高齢化、体力低下
▼本業が多忙となる
などが挙げられます。

また都市部では
人口あたりの団員数が少なく、
地方でも
一定の団員数を維持するのが
危ぶまれているということです。

そこで総務省消防庁では
消防団員の募集に力を入れています。

デザイン性の高い
ポスターを制作、配布するほか
最近では女性や学生にも
募集の範囲を広げています。

明間地区でも豪雨の後、
新たに団員が加わるなど
地域防災の要を
何とか維持しようと
努力が続いています。

   新人(左)への指導

消防団員になろう

愛媛でも、
近い将来起こるとされる
南海トラフ巨大地震に
備える意味でも、
もっともっと消防団への
関心を高め、
新規入団者を
増やすための仕掛けや工夫が
必要となっています。

記者プロフィール
この記事を書いた人
中武正和

1975年11月松山市生まれ。南海放送南予支局(宇和島駐在)記者として一次産業を中心に様々な話題を取材。西日本豪雨は発生時から被災地で取材活動に従事。2021年4月から県庁担当記者。南予・東予から届く支局の話題を分かりやすく解説します。

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