やりがいブラック

ニュース解説

「やりがいブラック」の会社を、どのように変えていくかが課題だったんですー。

先週「えひめ・まつやま働き方改革シンポジウム」が開かれ、南海放送の働き方改革推進チーム員である私も参加しました。

◆やる気はブラックの素?

事例発表の中で出てきたのが「やりがいブラック」という言葉。発表したNPO法人は、福祉分野での新事業を起こしたばかりで、みんなやる気にあふれていた。残業時間も増えるばかり。あれもしたいこれもしたい、もっと働きたい。自分の時間を削っても、仕事をしたい…。

でも、それで幸せなのか?設立理念は「障がい者とその家族の彩り豊かな生活を支える」だったはず。自分たち支え手が幸せでないのに、誰かを幸せにできるのか?と立ち止まった時に、働き方を変えたというケースでした。

「やりがいブラック」

私たちマスコミにも同じような土壌がありました。

◆マスコミの働き方改革は?

1人前のアナウンサー、ディレクター、記者になるためには、寝る時間なんてもったいない。

とにかく時間と手間をかけることが絶対的風土で、10数年前の私も、夜中2時まで編集をして、翌朝6時には出社し、朝ワイド番組のディレクターに入るなんてことはザラ。
「自分が未熟なんだから、残業を申請するなんてもってのほか」と当然のように納得していました。

やりがいブラックにどっぷりつかって、それが“善”だと思い込んで育った世代です。

◆自由に働けないのは「かわいそう」?

あるとき後輩から「私はもっと上達したいんです。先輩たちは、時間を気にすることなく学べた。でも私たちはもっと勉強したいと思っていても、時間だから帰れと言われるんです。どうすればいいのか、つらいです」と打ち明けられました。
そのとき、私はとっさに「かわいそうだ」と感じてしまいました。

「かわいそう」-

もしかすると、この感情こそ、働く人を追い詰めている元凶ではないのか?

自分が育ってきた環境が最善だと思い込んでいるからこそ、自分たちと同じようにたっぷり時間をかけられないあなたたちは不幸だ、と勝手に思い込んでいたことに気づきました。

◆「自分の基準が正しい」に疑問を!

これは体罰問題で、大人が口にしていたことと同じです。

「昔は叩かれて1人前になった」「そんなことぐらい我慢しないと根性が育たない」-。

自分が育った時代を基準にして、後輩たちをジャッジする。
体罰もブラック企業も同じような構図だと思います。

その後輩はいま、限られた時間の中で、とてもいい作品を作り、私たちよりもはるかに効率よく仕事をしています。

ただただ時間の量で勝負していた時代から、制限のある中で質の高い仕事をしていく術を身についているのですね。

◆「帰れるわけない」、それはホント?

ちなみに、わが社は、毎週水曜日がノー残業デー。

昼休みになると「今日はノー残業デー。業務を調整して定時で退社するよう心掛けましょう」と全館にアナウンスされます。お客さんはびっくりしますが(笑)。

当初は、「帰れるわけないだろ!」とスピーカーに悪態をついていた社員もいましたが、根気よく繰り返すことで、自然と定着してきたようです。

だからといって、南海放送の番組の質は・・・いかがですか?

みんなを笑顔にする番組は、健全な作り手から!だと感じています。


事例発表をした企業の一つ、ラポール(松山市)さんから、出席者全員(!)にスイーツのお土産。職場の皆さんと笑顔でコミュニケーションして下さいとのこと。みんなでおいしくいただきました。
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この記事を書いた人
永野彰子

入社32年目、下り坂をゆっくり楽しんで歩いています。
ラジオ「ニュースな時間」で出会った人たちの、こころに残ることばを中心にお伝えできればと思います。

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