検証“シャインマスカット事件”

オピニオン室

6月28日、
西条市に住む
34歳の会社員の男が
人気の高級ブドウ
「シャインマスカット」の苗木を
開発者の許可なく
フリマサイトに
出品したなどとして
種苗法違反の疑いで
書類送検されました。 

高級果物を巡っては
過去、
海外において
無許可で栽培されるなど
その保護が
問題となっています。 

「小遣い稼ぎだった…」 

警視庁の調べに対し、
男はこのように
容疑を認めているということです。

 男は
市販の家庭菜園用の
「シャインマスカット」の
苗木を購入し、
自宅で育てていました。

市販の苗木を
育てること自体は
問題ありませんが、
栽培の目的が
捜査対象になりました。

 無許可で販売+保管 

「シャインマスカット」は、
国の農業・食品産業技術総合研究機構が
開発・品種登録していて、
苗木の販売には
種苗法により
研究機構の許可が必要です。 

警視庁によりますと、
男はことし4月14日と
5月1日の二回、
「シャインマスカット」の苗木を
販売する目的で
インターネットの
フリーマーケットサイトに
無許可で出品 

さらに5月23日、
販売目的で
「シャインマスカット」の苗木4本を
無許可で保管
していたということです。 

男はフリーマーケットサイトで
1本1700円前後で
販売していました。

中国・韓国に流出
“シャインマスカット”

“おいしい”と
評価の高い
「シャインマスカット」は、
海外流出の危機
さらされてきました。

農林水産省HPによりますと
これまでに
中国や韓国に苗木が流出。

中国では「陽光バラ」、
「香印翡翠」などの
名前で販売され、
韓国でも
栽培と販売が確認されています。

相次ぐ高級果物の海外流出… 

高級果物を巡っては、
過去にも
海外に流出する被害が
ありました。

農林水産省HPによりますと、
1996年以降、
日本で開発された
イチゴの「章姫」(あきひめ)、
「レッドパール」が
韓国国内で
育成者の許可無く
広く栽培され、
2006年には
韓国のイチゴの
8割以上のシェアを
占める事態となりました。

保護の切り札“改正種苗法”

そこで
国が取り組んだのが、
法律の改正です。

ことし4月、
許可なく
苗木を輸出できなくする
改正種苗法
成立したのです。

男が販売した
「シャインマスカット」の
流通先については
現在、捜査が続いています。

転売目的での栽培は禁止

今、巣ごもり時間を活用した
家庭菜園が人気を集めています。

苗木を育て、
自分たちで味わうことは
問題ありませんが、
転売目的で栽培する行為は
禁止されています。

法の不知は許さず”の
言葉にあるように、
たとえ法律違反の意思が
無くても、
罪に問われる可能性があるのです。

 

 

 

 

 

記者プロフィール
この記事を書いた人
中武正和

1975年11月松山市生まれ。南海放送南予支局(宇和島駐在)記者として一次産業を中心に様々な話題を取材。西日本豪雨は発生時から被災地で取材活動に従事。2021年4月から県庁担当記者。南予・東予から届く支局の話題を分かりやすく解説します。

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