CH.4交通事故を考える 高齢ドライバー

オピニオン室

今回は、ニュースのウラカタを1回お休みして、
6月29日のニュースCH4で特集した
「CH.4交通事故を考える~高齢ドライバーの事故~」を
取り上げます。

「CH.4交通事故を考える」は去年12月にスタートした
番組のキャンペーン的な取り組みで、
”愛媛の交通”に関する様々なテーマを
月1回のペースで取材・放送しています。

”愛媛の交通事故がゼロになるまで取材・放送を続ける”
そんな意気込みで取り組んでいるシリーズです。

これまで、愛媛の交通事故史、自転車、
横断歩道、通学路、ライダーなどをテーマに、
現場での取材はもちろん、
データ・定点観測・調査・実験などをまじえて、
1回15分~20分という、
ニュース番組の1コーナーとしては、
まずあり得ない長さの特集を放送してきました。

今回は社会問題ともなっている「高齢ドライバーの事故」に関連して、
「高齢者の運転免許自主返納」がテーマです。

実は県内では、免許を自主的に返納する高齢者が急増していて、
10年で約4倍になっています。

その背景には、高齢者が「第1当事者」、
いわゆる”加害者”になってしまう事故が
印象的にも、データ的にも増えていることがあると思われます。

CH4交通班では、「運転免許自主返納」が、
高齢ドライバー事故減の切り札になるかもしれないと考えました。

そこで、お茶の間でテレビを見た方々の間で
「免許返納」が話題に上ればいいな、
家族で話し合うきっかけになればいいな、
そのためには”へぇ~”という部分が必要だなと考えました。

取材・解説出演など表舞台は交通担当記者に任せて、
ウラカタの私は、免許返納をコスト面で調べることしました。
車を運転する生活と運転しない生活のコスト比較です。

設定したのは県内在住で65歳のAさん。

移動は、週3回のスーパーへ買い物と週1回の通院、
どちらも自宅から3キロです。
Aさんが75歳になるまでの10年を
2つのパターンでシミュレーションしてみました。

 

パターン① 軽自動車の新車を購入して車を運転して過ごす10年
パターン② 免許を返納し車を運転せずに過ごす10年

パターン②では、
移動手段として相対的にコストが高い

タクシーを利用する設定です。

税金や自賠責保険、タクシーの階段料金の仕組み、
70歳未満と以上の免許更新の違いについて学び、
エコカーの価格や燃費の平均値を調査し、
直近の県内のガソリン価格を調べ、
さらに県内の保険会社や車販売店にご協力いただいて
電卓片手に半日がかりで計算しました。

まずパターン①

398万2700円。
年間ざっくり40万円ですが、
消耗品のほか、
故障した際の修理代などは計算に入れていません。
続いてパターン②

単純計算で399万3600円。
番組独自の計算ですので、
あくまでも参考の金額ではありますが、
①②はほぼ同じ価格になりました。


ただし②は、電車・バスを利用したり、
家族のサポートがあったりするとコスト削減できそうです。
また、買い物の回数を減らすなど、
生活のスタイルを上手に変化させられれば、
さらなる節約もできます。

そして決定的な違いが、事故リスクです。


県内の保険会社に聞いたところ、
誤ってコンビニに突っ込み営業がストップした場合、
店舗と車の修理代のほか、
1日の平均売り上げ55万円×日数分が請求されます。

また、小学1年生の児童をはねて死亡させてしまった場合、
一般的に約7700万円の賠償が求められるということです。

運転免許の返納をお考えの皆さん、家族の皆さん、
参考にしてみてください。

最後に、
いずれニュースのウラカタにも登場してもらうつもりですが、
今回の特集を担当した20代の女性記者は、
「CH.4交通事故を考える」の生みの親です。

ご家族が交通事故に遭われた経験などから、
交通事故撲滅への並々ならぬ意欲を隠さず
闘志を燃やしています。

彼女が、今回の特集取材を通じて感じたことです。
「高齢者が加害者になる事故や免許自主返納については、
私たち、若い世代がしっかり考えていくべき課題だと強く感じました。
いずれ若い世代も年をとります。
その時、車を運転しなくても、不自由ない生活が送れるか?
免許を返納した高齢者が快適に暮らせる街を目指して、
自治体の支援体制、地域の交通システムの構築が急がれます」

記者プロフィール
この記事を書いた人
宇都宮宏明

西予市宇和町出身、1996年 南海放送入社後、主にテレビ番組制作部門。
「もぎたてテレビ」のディレクター・プロデューサーなど担当。
2018年~「ニュースCH4」デスク(自称”世界で一番優しいニュースデスク”)。

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