4月26日、伊予市双海町の
上灘漁港で、漁船21隻を焼く
大規模な火災がありました。
ある漁師は、その様子を
「地獄絵図だった」と嘆きます。
これからの暮らしを
どうするのか…
生活再建に向けた課題を
取材しました。
カタクチイワシ専門 共栄網
上灘漁協には、
ハモなどを狙う底引き網漁師や、
サワラなどを獲る刺し網漁師が
います。
そして、カタクチイワシ専門の
漁師たちは、
共栄網という団体をつくり
漁や加工場の運営を
協力して行っています。
共栄網の漁法は2隻がペアを組み、
目の前の伊予灘で網をひく
機船船びき網漁ですが、
保有する網船10隻のうち、
火災で8隻を失いました。
船が、魚が、収入が無い…
火災後、当然ながら
漁に出られず、水揚げはゼロ。
カタクチイワシを釜ゆでし、
販売用に加工する施設の操業も
停止を余儀なくされ、
漁師たちは、収入が
完全に断たれてしまいました。
今、上灘漁協共栄網では
主に3つの危機に直面しています。
課題①当面の生活費
課題②漁船の確保
課題③漁船が少ない間の収入補てん
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課題①当面の生活費について
考えます。
漁師は今、
蓄えを切り崩しながら
暮らしていますが、
それも限りがあります。
そこで共栄網では、
被災前に漁獲・加工していた
カタクチイワシを
“復興商品”として販売しました。
通常より販売価格を
やや高めに設定しましたが、
無事、完売することができました。
“助けてください”という
呼びかけで始まるチラシは、
今後、漁が再開した時のための
予約販売を呼びかける
PRチラシです。
火災のあと、共栄網の事務所には
「イワシを買いたい」という
問い合わせの電話が
寄せられています。
一方、行政など公的機関による支援も
始まっています。
伊予市は、愛媛県信用漁業
協同組合連合会と連携し、
低金利で融資が受けられる
さまざまな経済支援策を
漁師に案内しています。
漁師の中には
子育て世代も多く、
当面の生活を支える
資金の緊急支援は
欠かすことができません。
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次に課題②漁船の確保です。
共栄網では火災を免れた
2隻の漁船で5月18日から
漁を再開しています。
しかし、2隻での水揚げ量は
10隻体制だった
火災前と比べ、単純計算で
5分の1にしかなりません。
新しく漁船を造り変えた場合、
その建造費は
全部で4000万円にも
のぼるとみられ、
割安な中古漁船を修繕しての
再建を模索しています。
すでに漁師仲間から
2隻の中古漁船を購入していて、
今後も東予・南予と県内各地から
購入する予定です。
その資金の手当てには
課題①で紹介した
伊予市・県信漁連による
低金利融資を
活用することも考えられます。
加えて、船が毀損した場合などに
支払われる
“漁船保険”が適用されれば、
ある程度、漁船の再建に活かせます。
本格的な漁の再開には
▼割安な中古漁船を探す
▼購入資金の用意
この2つがカギとなります。
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最後は課題③、
漁船が少ない間の収入補てんです。
加工場では漁師の妻16人が
働いています。
稼働2隻の状態では
獲れる魚の量が少なく、
加工場で働く時間は
とても短くなり、
収入も少なくなります。
そこで今、計画されているのが
小売店舗の管理運営です。
場所は“ふたみシーサイド公園”そばの
販売施設で、
6月からの管理運営開始を
予定しています。
何を販売するのか?
商品開発は、もう始まっています。
加工場の女性たちと
開発にあたっているのは、
愛媛大学2年生で
1次産業活性化の
サポートを行っている
学生グループ“あぐるーつ”の
友宗龍希さんです。
若者とのコラボで
どんな商品が開発されるのか、
期待が高まっています。
ふるさとの海に再起をかける
未曽有の危機に直面する漁師たち。
しかし、支援してくれる人たちの
応援を頼りに、前を向く姿に
取材する立場の私が
勇気づけられました。
今後、復興資金を調達する
クラウドファンディングも
計画されています。
引き続き取材を継続し、
復活を見届けたいと思います。