新型コロナワクチンの
高齢者向け接種の準備が
県内各地で進められています。
そんな中、今週、
松山市で起きたのが
“予約”と
“接種開始日”を巡る混乱です。
15万枚の接種券
松山市では今月23日、
65歳以上の高齢者を対象に
新型コロナワクチン接種券が入った
封書の発送を始めました。
その数15万枚。
封書には
接種券やワクチンに関する
説明文が入っていましたが…
予約開始日が書かれていない…
実は、
“5月10日”の
予約開始日と、
“5月31日”の
接種開始日が
どこにも
書かれていなかったのです。
このため
いつでも予約できる、
いつでも接種できると
誤解したか、
あるいは、
よく分からないまま
高齢者が
市内の医療機関に
「きょうワクチンを
打ちに行っていいですか?」
と問い合わせたり、
直接、接種券を持って
訪れるケースが相次いたのです。
ある程度混乱を予想していた松山市
26日、松山市保健所の
ワクチン担当
冨田定伸次長に取材しました。
「医療機関に問い合わせが相次ぎ、
ご迷惑をかけてしまったことについて、
申し訳なく思っています。
ある程度、こうした事態が
起きてしまうことは
予想していました」
一体、
どういうことなのでしょうか?
国の指示通り準備
冨田次長によると、
ワクチン接種券は
国からの
「3月中に準備するように」との
指示どおり、
3月19日から
印刷作業を行うなど
準備を進めていました。
当時、国からの
ワクチン供給スケジュールは
不透明で、
松山市における
予約開始日や
接種開始日も不明のまま。
当然、
そうした情報は
説明文書に記載することは
出来ませんでした。
その後、国から
「4月23日をメドに
発送するように」との
指示があり、
市は国から指定された
23日の発送作業に
間に合うよう、
接種券が入った封書を
郵便局に持ち込み、
発送したのです。
医療従事者に事前ワクチン接種
実は、
接種券の発送準備と並行して
高齢者に
ワクチンを接種する側の
医療従事者へのワクチン接種も
進んでいました。
医療従事者側の
接種時の、万が一の感染を
防ぐためです。
冨田次長によりますと、
この医療従事者側を対象とした
ワクチン接種(2回目の接種)が
「5月29日ごろに
終了する」と分かったのが
今月中旬だったといいます。
このスケジュールから
高齢者への接種時期を
逆算した松山市は、
接種開始を5月31日、
予約開始を5月10日と決定。
そして、今月20日に
市は2つの日程を
会見で発表しました。
しかし、翌21日に
接種券が入った封書を
郵便局へ持ち込むことを
すでに決めていたため、
「封書とは別の手段で
2つの日程を周知しよう」と
考えたということです。
ホームページ・LINEで周知 しかし…
市は
接種券が高齢者に届き始める
今月23日から、
①公式ホームページと
②LINEで
2つの日程を周知し始めます。
翌24日からは
③防災行政無線の
屋外スピーカーを使った
音声による周知も開始。
しかし、医療機関の
混乱を避けることは
出来ませんでした。
判断の是非と、広報のあり方
松山市保健所の
冨田次長によりますと、
仮に発送前の封書に
2つの日程を記載した文書を
改めて封入し直した場合、
「作業に一週間はかかる」と
みられたといいます。
その遅れから生じる
高齢者への
感染リスクを考慮した場合、
市は、
判断としては適正だったが
結果として、
医療現場を混乱させたことに
ついては
「大変、申し訳なく思う」
(野志市長)としました。
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ここからは現場を取材した
私のアイデアです。
高齢者は
インターネットや
SNSを
一般に、不得手と
している場合が多いため
例えば、「家族から
情報を伝えてほしい」といった
メッセージを
市が、ツイッターなどの
SNSを通じて
発信することも
アイデアとしては
ありえたと思います。
また、ある程度
予想していたとはいえ、
医療機関の混乱の程度によっては
柔軟に、臨機応変に対応し
臨時会見などで
情報発信に努めたり
より丁寧な説明を行う選択肢も
あったのではないでしょうか。
県内で
コロナの感染拡大が続くなか、
松山市の
ワクチン接種券をめぐる混乱は、
命を守る
ワクチンへの関心の高さを
示しました。
一方、行政には、
より高齢者の目線にたった
住民サービスの提供と
現状に素早く
柔軟に対応する
『対応力』が問われていると
感じました。