第90回「パラ競泳日本代表・山口選手らに南海放送賞」

オピニオン室

■「南海放送賞」

この賞は、福祉活動や社会貢献活動において、特に著しい業績をあげられた個人・団体。さらに、身体障がい等を克服して自立に努め、社会活動に積極的に参加している人などを表彰しているものです。
昭和42年(1967年)に設立され、平成16年(2004年)からは、公募方式を採用していて、今年で54回を数えます。

■今年の受賞者は
「第54回 南海放送賞」は、自薦・他薦候補が11件、南海放送報道部の推薦候補が29件、そして、昨年度からの継続候補を合わせて計102件が選考対象となりました。
そして、南海放送賞選考会による厳正な選考の結果、次の1団体・2個人に決定しました。

◯山口尚秀さん パラアスリート(20歳・今治市)

◯認定NPO法人 ラ・ファミリエ(活動歴18年・松山市)

◯川本茂二さん 民生児童委員・主任児童委員 (79歳・八幡浜市)

■山口尚秀(やまぐち・なおひで)さん

山口さんは、3歳の時に知的障害を伴う自閉症と診断され、小学校4年生の時からスイミングスクールに通い始めます。
その後、2016年に岩手県で開催された、「第16回全国障害者スポーツ大会」への出場をきっかけに健常者選手と共に、本格的な競泳の練習に取り組むことになりました。

そして、2019年9月に開催された、世界パラ競泳選手権大会の男子100メートル平泳ぎ(知的障害の部)で、1分4秒95の世界新記録で優勝し、東京パラリンピック競泳日本代表の第一号に内定しました。
2020年11月に宮城県で開催された記録会では、1分4秒13の自己ベストで世界記録を更新しています。
競技歴わずか3年ながら、100m平泳ぎを含む3種目(他は50m平泳ぎ、50m背泳ぎ)で日本記録を保持し、日本代表に内定した100m平泳ぎのほかにも、背泳ぎでのパラリンピック出場も目指しています。

■認定NPO法人 ラ・ファミリエ

病気のある子どもたちとその家族の支援を目的に、医療関係者、患者会、自立支援員、相談支援専門員、社会福祉士、行政書士などで構成している団体です。
2003年4月から、慢性疾患児家族宿泊施設「ファミリーハウスあい」を運営し、小児慢性特定疾患等で長期入院している子どもとその家族を支援しています。
2015年4月からは、愛媛県・松山市からの委託により、「小児慢性特定疾病児童等自立支援事業」を実施。

慢性的な疾病を抱える子どもとその家族の負担軽減及び長期療養をしている子どもの自立や成長支援として、相互交流支援(今年はリモートでサマーキャンプ、仕事体験や遊びの動画配信等を実施)、学習支援、就職支援などを積極的に展開しています。

■川本茂二(かわもと・しげじ)さん

地元・八幡浜市で、1975年から45年間にわたり、登下校する児童や生徒への声かけ・交通指導を毎朝欠かさず実施しています。

1986年以降は、八幡浜少年警察ボランティアや八幡浜警察署防犯相談所長なども担当し、防犯活動にも取り組んできました。
また、2006年に不審者事案が発生したことから、地元の公民館やPTAなどに呼びかけて、見守り隊「チーム白浜」を結成し、日々地域と連携した見守り活動を行っています。
さらに、主任児童委員として、年に1回、地元の児童養護施設で生活している子どもたちと公民館でクレープ作りをするなど、積極的に子どもたちと交流しています。
コロナによる休校期間中にも、小学校の教諭らとの情報交換をより密にしながら、「チーム白浜」のメンバーや地域の人と協力して、公園で遊ぶ子供たちの見守り活動などに取り組みました。

これまでに南海放送賞を受賞した団体と個人は、今回ご紹介した1団体・2個人を含めると183個人と31団体(計214個人・団体)にのぼります。
南海放送では、2021年2月19日(金)に新型コロナ対策として例年より規模を縮小して表彰式を行います。
また、「NEWS CH.4」でも今年の受賞者、山口尚秀さん、「認定NPO法人 ラ・ファミリエ」、川本茂二さんの取組みについて2021年1月中に番組内でご紹介する予定です。

※次回記事更新は、12月24日(木)予定です。

記者プロフィール
この記事を書いた人
御手洗充雄

1976年松山市生まれ。
1999年南海放送入社、2008年~報道部(記者として愛媛県警記者クラブ、松山市政記者クラブ、番町クラブなどを歴任し、現在はデスクとして活動中)
約10年の行政記者経験を基に県政・市政ニュースなどを分かりやすくお伝えます。

御手洗充雄をフォローする
オピニオン室