5月8日、松山市内の会議室で、「(仮称)松山道後水族館」の建設実現に向けた発起人会が開かれました。発起人会のメンバーは、経済団体から松山商工会議所と愛媛経済同友会、金融機関から伊予銀行、愛媛銀行、愛媛信用金庫、民間企業からは、伊予鉄グループ、フジ、三浦工業、ダイキアクシスと豪華な顔ぶれが揃い、水族館建設実現への本気度が伺えます。
※発起人会(2019年5月8日)
では、なぜ、松山に水族館が必要なのでしょう?
2017年の年間観光客数が600万人を超えた観光都市・松山。国の重要文化財に指定されている道後温泉本館や松山城など歴史的・文化的観光施設が全国的にも有名で、多くの観光客で賑わっています。一方、道後温泉本館は、2019年1月から耐震化に伴う約7年間の保存修理工事が始まっていて、工事期間中の観光客の減少が懸念されています。また、子どもから高齢者まで幅広い世代が楽しめるレジャー施設が少ないことも松山市が抱える観光面の課題です。
このため、2016年1月、道後温泉旅館協同組合や松山商工会議所など5つの団体が新たな観光施設の目玉として道後地区に“水族館”を建設するよう松山市に要望しました。
※松山市への要望(2016年1月)
これに対し、松山市は、水族館建設について検討を重ねてきましたが、2019年2月に「水族館は新たな観光誘客施設として大きな可能性を秘めているが、民設民営の水族館として検討すべきであり、オール松山体制の水族館建設を可能な限り支援していきたい」などと関係団体に回答しました。
この回答を受けて、“民設民営”の「(仮称)松山道後水族館」建設実現に向けた新たな動きがスタートしたのです。
気になる水族館の建設場所は、松山市南町の愛媛県県民文化会館前の県所有駐車場が候補地のひとつに挙げられています。道後温泉から松山城を結ぶ動線に水族館が誕生することで、松山市内に新たな賑わいが生まれることが期待されます。
一方で、建設までには土地を所有する愛媛県との交渉や水族館の形態、入館者数といった事業採算性などクリアしなければならない課題も山積しています。また、全国には100を超える水族館が存在していて、2020年春には、愛媛県のおとなり、香川県の宇多津町に四国最大級の施設がオープンする予定で、地域間における競争も激化しています。
発起人会では、2019年7月に、「愛媛・松山の水族館建設を推進する会」を設立することを決めていて、今年度中に水族館の規模など基本構想を取りまとめる予定です。
観光地・松山の更なる交流人口増加の起爆剤として、水族館建設は実現するのか。今後の動向が注目されます。