第88回「【愛媛・松山】コロナで成人式中止」

ニュース解説

■コロナで成人式中止
11月だけで新型コロナウイルスのクラスターが同時に6件も発生した松山市。
この松山市で、2021年1月10日に開催される予定だった「成人式」が中止となりました。
松山市で「成人式」が中止となるのは、記録が残る1965年以降では初めてのこと。

新成人の多くは、一生に一度の晴れ舞台に備え、すでに成人式用の振袖をレンタルしたり、前撮りをしたりして準備を整えていました。
しかし、松山市の各地区成人式実行委員会は、全国的なコロナの感染拡大を受け、新成人や関係者の安全を確保できないと、成人式の中止を決定したのです。
松山市は、「可能であれば2021年夏に代替の式が実施できれば」としていますが、新成人やその保護者の気持ちを考えると何とも言えない思いです。

このほか、愛媛県内では、愛南町が中止を今治市が開催延期を決めた一方で、残る市町は開催を予定しています。(12月2日時点)

こうした中、中村知事は、開催を予定している自治体に対し、成人式は、気が緩みがちな場でもあるため、感染拡大に繋がらないような十分な配慮や式典終了終の同窓会など飲食を伴う会食の自粛を新成人に求めるよう呼びかけています。

■クラスター6件同時発生

その新型コロナウイルスですが、県内の感染者数は、10月末までで116人でした。
ところが、11月に入り、感染者数が激増します。
11月に県が確認した感染者数は、これまでの2倍近くにあたる204人。
愛媛県内では、11月にいずれも松山市内で、飲食店2件、高齢者施設2件、学校2件の計6件のクラスターが発生する事態となりました。
この6件のクラスターでの感染者数は124人にのぼり、11月の感染者総数204人の約61%を占めています。

【6件のクラスター発生状況】
①飲食店「真野」:28人
②飲食店「おおた」:25人
③学校「雄新中学校」:22人
④学校「聖カタリナ学園高校」:7人
⑤高齢者施設「非公表施設」:25人
⑥高齢者施設「ツクイ・サンフォレスト松山」:17人
(11月末時点)

■新規感染者だけでも80人
クラスターばかりに目が行きがちですが、6つのクラスターを除いた感染者だけでも80人にのぼります。
この80人を年齢別、性別で見てみます。

【年齢別】
10歳未満:1人
10代:5人
20代:12人
30代:10人
40代:23人
50代:12人
60代:7人
70代:6人
80代:3人
90代以上:1人

【性別】
男性:50人
女性:30人

データから20代~50代の働き盛りの年代が7割を超えているのがわかります。
性別では、男性の割合が高くなっています。
職場や会食が主な感染経路とされていて、愛媛県は、特に働いている男性により一層、注意を強めて欲しいと呼びかけています。

■県内市町別の陽性者状況
県は、11月末までの県内の感染者320人について、市町別の陽性者数を個人が特定されない形で公表しました。

250人以上:松山市
11~20人:今治市、松前町
6~10人:伊予市、愛南町
1~5人:四国中央市、新居浜市、西条市、東温市、宇和島市、西予市、砥部町、内子町
0人:八幡浜市、大洲市、上島町、久万高原町、伊方町、松野町、鬼北町
県外在住者:5人

320人の陽性者のうち、全体の7割にあたる250人以上が松山市で発生していて、松山市近郊の自治体で、感染者が多く確認されています。
一方、未だに感染者が確認されていない自治体も7市町あります。

■高齢者・基礎疾患を持つ人に移さない

これまで、県内で新型コロナウイルスによって重症となった患者は14人、亡くなった方は6人です。
この14人の重症患者のうち、男性が9人、女性が5人。
年代別では、50代が2人、60代が3人、70代が3人、80歳以上が6人となっています。
また、14人中11人は、高血圧や糖尿病、肝機能障害などの基礎疾患があったということです。

重症者が増えると、医療機関への負担が増えるため、重症化リスクの高い高齢者にうつさないことが重要です。

中村知事は、「高齢者がうつらないためには、同窓会や忘年会などの不特定多数の高齢者が集まる機会を避け、年末年始の帰省を分散させるなど、家族で話し合い油断せず感染予防に努めてほしい」と呼び掛けました。

※次回記事更新は、12月10日(木)を予定しています。

記者プロフィール
この記事を書いた人
御手洗充雄

1976年松山市生まれ。
1999年南海放送入社、2008年~報道部(記者として愛媛県警記者クラブ、松山市政記者クラブ、番町クラブなどを歴任し、現在はデスクとして活動中)
約10年の行政記者経験を基に県政・市政ニュースなどを分かりやすくお伝えます。

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