第12回「愛媛のサラブレッド柑橘誕生!!」

オピニオン室

2019年4月、愛媛県がオリジナルの新しい高級柑橘のネーミングを発表しました。
その名は、「紅プリンセス」。

愛媛県農林水産研究所果樹研究センターみかん研究所が、2005年から14年の歳月をかけて開発した待望の新品種です。

父親は、「甘平(かんぺい)」。母親は、「紅(べに)まどんな」。
愛媛県を代表する高級柑橘のツートップを両親に持つ、まさに愛媛の“サラブレッド柑橘”です。

「紅まどんな」のゼリーのような食感と、「甘平」の濃厚な甘みを引き継いだ「紅プリンセス」。

糖度は、「甘平」を上回る14度以上で、皮は、「紅まどんな」と比べると薄くてむきやすく、形は、しずく型になっていることが特徴です。また、収穫時期は、3月中旬から4月上旬で、「紅まどんな」の12月、「甘平」の2月と時期がずれるため、愛媛県産の高級柑橘が長く楽しめます。

この「紅プリンセス」。ただのサラブレッドにとどまらず、“奇跡の柑橘”でもあるのです。

「紅プリンセス」を開発したみかん研究所は、去年7月の西日本豪雨で大きな被害を受けました。しかし、「紅プリンセス」の原母樹(げんぼじゅ)180本は、奇跡的に被害を免れ無事だったといことです。西日本豪雨で被災した県内のみかん農家も多く、「紅プリンセス」は、復興のシンボルとしても期待されています。

そんな期待を受け、愛媛県は、「紅プリンセス」の商標登録を特許庁に申請し、農水省に品種登録をしました。また、王女らしい華やかさと気品が伝わるように金色のティアラを“EHIME”のアルファベットで表現したロゴマークも作成しています。

今後のスケジュールとしては、2022年から栽培を希望する愛媛県内の柑橘生産者に「紅プリンセス」の苗木の配布を始め、市場への出荷は、2025年を予定しています。また、2025年の収穫量は、200トンから250トン。販売価格は、「紅まどんな」と「甘平」を上回る1キロあたり1000円程度を目指しています。

「どこの柑橘生産県も真似できない品種」と中村知事も自信をのぞかせる「紅プリンセス」。
西日本豪雨災害からの復興のシンボルとして、“奇跡のサラブレッド柑橘”が食卓を彩る日を楽しみにしています。

記者プロフィール
この記事を書いた人
御手洗充雄

1976年松山市生まれ。
1999年南海放送入社、2008年~報道部(記者として愛媛県警記者クラブ、松山市政記者クラブ、番町クラブなどを歴任し、現在はデスクとして活動中)
約10年の行政記者経験を基に県政・市政ニュースなどを分かりやすくお伝えます。

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