クライミング世界選手権の日本代表選手を決める第2回「コンバインドジャパンカップ」が西条市で行われた。この大会は「スピード」「ボルダリング」「リード」3つの種目の総合得点を競うコンバインド(複合)大会。五輪や世界選手権も同じルール(複合)で競われるため五輪代表選考の前哨戦のような戦いとなった。会場の「石鎚クライミングパークSAIJO」には多くのファンが訪れ、日本トップクラスの技に歓声があがった。
大会初日は予選。男女に別れ「スピード」→「ボルダリング」→「リード」の順番で行われ、それぞれ3種目の順位を掛け算して、その得点が最も低い選手が上位になる計算式で行われる。
例えばA選手がスピード4位ボルダリング9位リード1位だと4×9×1で持ち点「36」B選手がスピード2位ボルダリング3位リード8位だと2×3×8で持ち点「48」となり、A選手の持ち点の方が少ないため、A選手の勝ちとなる。このように「複合」では3種目できるだけ平均して上位に入ることがメダル獲得への条件となってくる。
予選でまず会場を沸かせたのは「スピード」。この「スピード」は世界共通のスピードルートで設定された高さ15メートルで95度に前傾した壁が用意されており、世界中どこでも同じ壁のため「世界記録」や「日本記録」が存在する。選手は2人同時に、隣り合わせの「A」と「B」の壁を登りそのタイムを競う。競技は2回のタイムトライアルで、そのうちの良いタイムが記録として残り順位が決定する。
女子の予選では全国的に有名な女子高生クライマー伊藤ふたば選手が8秒992のユースA記録を更新。その後、野中生萌(みほう)選手がその記録を上回る8秒499を叩きだし日本記録を樹立した。あまりの速さと力強さに会場から大きな歓声が起こった。
上位8人が進出した決勝戦は男女ともハイレベル。男子のスピードで大会連覇を目指す楢崎智亜(ともあ)選手が6秒291で日本記録を更新。ボルダリング、リードでも安定した力を見せ大会連覇を達成した。女子は野中生萌・野口啓代(あきよ)に加え、新生の15歳森秋彩(もり あい)が絡むハイレベルな争いとなった。その中でスピード、ボルダリングで1位を獲得した野中が初優勝を果たした。
結果は下記の通り
男子
1位:楢崎 智亜(TEAM au) 6ポイント(S 1位/B 3位/L 2位)
2位:原田 海(日新火災) 12ポイント(S 6位/B 2位/L 1位)
3位:藤井 快(TEAM au) 36ポイント(S 2位/B 6位/L 3位)
4位:土肥 圭太(鹿児島県) 40ポイント(S 8位/B 1位/L 5位)
5位:緒方 良行(神奈川大学) 72ポイント(S 3位/B 4位/L 6位)
6位:楢崎 明智(TEAM au) 80ポイント(S 4位/B 5位/L 4位)
7位:抜井 亮瑛(奈良県山岳連盟) 280ポイント(S 5位/B 8位/L 7位)
8位:石松 大晟(Base Camp) 392ポイント(S 7位/B 7位/L 8位)
女子
1位:野中 生萌(XFLAG) 7ポイント(S 1位/B 1位/L 7位)
2位:野口 啓代(TEAM au) 12ポイント(S 3位/B 2位/L 2位)
3位:森 秋彩(つくば開成高等学校) 12ポイント(S 4位/B 3位/L 1位)
4位:谷井 菜月(橿原学院高等学校) 72ポイント(S 6位/B 4位/L 3位)
5位:倉 菜々子(ウィルスタッフ) 128ポイント(S 2位/B 8位/L 8位)
6位:伊藤 ふたば(TEAM au) 150ポイント(S 5位/B 5位/L 6位)
7位:小武 芽生(エスエスケイフーズ) 210ポイント(S 7位/B 6位/L 5位)
8位:平野 夏海(国士舘高等学校) 224ポイント(S 8位/B 7位/L 4位)
大会の結果を受け、男子は楢崎兄弟、原田、藤井、土肥の5人が日本山岳・スポーツクライミング協会の条件を満たし世界選手権の出場内定。女子は野中、野口、森、谷井、倉が世界選手権の出場権を獲得した。世界選手権は8月に東京八王子で行われる。