■「14.5%」
この数字、何だか分かりますか?
JAF(日本自動車連盟)が2020年8月、全国一斉に行った調査、「信号機の無い横断歩道で歩行者が渡ろうとしている時、一時停止した車」の愛媛県の結果です。
全国平均の21.3%に比べ、愛媛県は14.5%と、6.8ポイントも下回っています。
これは、横断歩道を渡ろうとしたとき“7台に1台”しか止まってくれないことを意味しています。
ちなみに全国トップの長野県では、72.4%の車が一時停止するということなので、愛媛の調査結果がいかに悪いものかよく分かります。
■「横断歩道での歩行者優先」はマナーではなく“ルール”
横断歩道を渡りたいのに車が減速もせず、当たり前のように歩道上を通過していく。
横断歩道を渡っている途中なのに車が歩道に侵入してくる。
横断歩道で車が止まってくれないので、車の流れの間隙をぬってダッシュで渡らないといけない。
皆さんもこうした経験はありませんか?
道路交通法第38条では、明らかに横断する歩行者などがいない場合以外は、“横断歩道の直前で停止できる速度”で走らなければならない。また、横断歩道で横断しようとしている歩行者などがいる場合、“直前で一時停止し、かつその通行を妨げない”ようにしなければならないと定められています。
この法律に違反した場合、違反点数2点。
普通車であれば反則金9000円が科せられます。
また、自転車で車道を走っていて、歩行者が横断歩道を横断しているときに停止しない場合も法律違反です。
乗っていれば自転車も車両としての一時停止の義務を負います。
つまり、「横断歩道での歩行者優先」はマナーではなく、“ルール”なのです。
■痛ましい事故も
愛媛県内では、横断歩道上の痛ましい事故が後を絶ちません。
10月6日には、愛南町で、信号機のない横断歩道を歩いて渡っていた小学3年生の女の子が乗用車にはねられて亡くなってしまうという交通死亡事故が発生しました。
愛媛県内では、2020年に入り、あわせて5人が横断歩道やその近くを歩いていたにも関わらず事故に遭い、亡くなっています。
道路交通法で定められた“ルール”を守りさえしていれば、救えた命です。
■「7:3」
日没が早くなり、交通事故の増加が懸念されるこれからの時期、特に注意したいのが車のライトと歩行者の反射材です。
こちらのデータをご覧ください。
“右→左”に横断中が7割。
“左→右”に横断中が3割。
夜間、横断歩道を横断中に歩行者が車にはねられる事故の割合です。
車の運転手から見て右から左に横断する歩行者をはねる事故の比率が高くなっていることが分かります。
これは、対向車にまぶしくないよう、車の前照灯の“右側”の照射範囲が狭くなっている車の構造が一つの要因と考えられます。
左側からの歩行者は、横断歩道の手前30メートルに表示されているひし形マークあたりで認識することができます。
一方、右側からの歩行者は、横断歩道の手前まで認識できません。
このため、夜間の歩行者を早く発見するために運転手は車の前照灯のハイビームとロービームをこまめに切り替えることが重要です。
逆と思われがちですが、夜間の走行は“ハイビーム”が基本です。
“ロービーム”は、すれ違い用前照灯と呼ばれている通り、対向車がいる際などにまぶしくないように使用するライトです。
■歩行者も対策を
夜間の歩行中は、反射材の着用が事故防止には有効です。
この反射材、たすきがけタイプの場合は、正面からは車に認識されやすい一方で、横からはみえにくいというデメリットもあります。
このため、夜間に横断歩道を渡る可能性がある場合は、体の“横”を意識して反射材を付けることが重要です。
靴のかかとのほかに靴の横にも反射材を付けると認識されやすくなります。
夜間の横断歩道事故をなくすためには、ドライバーは特に右側からの歩行者に注意し、こまめなライトの切り替えを。
歩行者は、明るい色の服を着て、反射材の位置を工夫するなどドライバーに発見してもらいやすくすることが大切です。
■横断歩道の事故は無くせるはず
改めて、ドライバーは、「横断歩道での歩行者優先」はマナーではなく“ルール”、つまり法律なのだと常に意識してハンドルを握り、横断歩道に歩行者がいたら必ず一時停止を。
一方、歩行者は、横断歩道を渡りたいときには、手を挙げて運転手とアイコンタクトをするなど、はっきりと“意思表示”することを心がけて下さい。
ドライバーと歩行者がお互いを思いやり、ルールを守ることができれば、横断歩道での事故をきっと無くせるはずです。
※次回記事更新は、11月5日(木)を予定しています。