高校野球夏季大会はじまる 

ニュース解説

 

■愛媛県独自の大会

新型コロナウイルスの影響で中止となった夏の高校野球に代わる県独自の大会「令和2年愛媛県高校野球夏季大会」が8月1日(土)に始まった。大会のコンセプトは「3年生の為の大会」。通常の地区大会のベンチ入りの人数は上限20人だがこの大会は3年生に限り全員出場できる。感染症対策としては基本的に無観客とし事前に登録した保護者や野球部員のみスタンドに入ることができる。当日球場へ入場する際全員が検温を受け体調のチェックをする。3回戦までは移動を最小限にするため東・中・南予の各地区同士の学校が対戦するなど細心の注意を払いながら運営されている。

■3年生全員出場

普段であればベンチ入りメンバーを発表する「背番号贈呈」にはドラマがある。これまで頑張ってきた3年生を選ぶのか?力をつけてきている下級生をベンチに入れるのか?高校野球の監督にとって一番つらい決断だと語る指導者も多い。しかし今年は出場する意思がある3年生全員に背番号が用意されている。

今大会3年生の数が最も多いのは松山聖陵の33人。このうち受験や就職活動を優先したいと大会の出場を辞退した3年生部員が5人。松山聖陵はその部員を除いた3年生と下級生のレギュラーメンバーを加え「32番」まで背番号をつけている選手がいる。ソーシャルディスタンスを保つため実際にベンチの中に入れる上限は20人。その数を超える選手たちは応援スタンドで出番を待つことになる。

2回戦・松山聖陵対伊予農業の試合でこんな場面があった。5回を終わって9-0と大きくリードした松山聖陵。荷川取秀明監督がベンチを出てスタンドに向かって指示を出した。「次の守備から行くぞ」「代打に備えろ」指示を受けた背番号「25番」や「28番」の選手は急いでスタンドから1回のダッグアウトへ走った。

「守備の変更をお知らせします。ファースト林君」

背番号25番林琉仁選手は急ピッチでキャッチボールをしファーストの守備に入った。これが3年間で初めての公式戦出場だ。初めて踏みしめる公式戦のグランウンド。少し照れ臭そうにハニカミながらも晴れやかな表情で守備についていた。

※公式戦初出場 林琉仁選手

「少しでも試合に出られてチームで戦えたので嬉しかった」

敗れた伊予農業。試合後鈴木洋監督が3年生全員を集めコロナ時代らしい行動で3年間の努力を称えていた。

※鈴木洋監督

「いつもは握手して終わるけど、エアー握手な。これからも頑張れ!」「はい!!」

松山東や松山西は今大会に参加せず受験に備え7月に行われた市内大会で高校野球に区切りをつけた。愛媛の球児それぞれが選択した夏。すべての選手たちが少しでも前を向き次のステップに繋がるように心から応援したい。大会はトーナメント形式で進行し今月9日(日)に決勝戦を迎える。

余談ではあるが今年の春から高校野球で大きなルール変更があった。1つは「1週間500球」ルール。大会期間中に1人の投手が投げる総数を「1週間500球以内」とし3連戦を避ける日程を設定するというもの。そしてもう一つはこれまでスパイクの色は「黒」で統一していたが暑さ対策の一環で「白」も容認するというもの。今大会では済美が「白スパイク」を導入していた。

記者プロフィール
この記事を書いた人
藤田勇次郎

1975年生まれ。奈良県大和郡山市出身。1998年入社。
高校野球・サッカー・日米大学野球・マラソン・トライアスロン・アームレスリング・駅伝・ボウリング・剣道・ビーチバレーなど各種実況担当。
「松山大学女子駅伝部」を10年にわたって取材。4本のドキュメンタリーを制作。

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