新元号「令和」がスタートした2019年5月1日午前0時。
改元を記念し、愛媛県内で最も有名な観光名所「道後温泉本館」でカウントダウンイベントが開催されました。降りしきる雨の中、国内はもちろん、海外の観光客や市民などおよそ3,000人が集まり、新元号「令和」のスタートを盛大に祝いました。
このカウントダウンイベントの開催に向けて、地元、道後の商店街やホテル・旅館関係者には様々な思いがありました。
聖徳太子も入浴し、日本最古の温泉と言われる道後温泉。
そのシンボルの“道後温泉本館”は、明治27年、1894年に改築。国の重要文化財に指定されていて、当時の趣のまま、現在も多くの人に愛されています。
また、「令和」は、万葉集の文言を引用したもので、この日本最古の歌集には、「熟田津の歌」といった道後温泉に関する和歌が収められているなど「令和」と「道後温泉」には、深い繋がりがあります。
しかし、この道後温泉本館は、耐震化などを理由に2019年1月15日から営業を続けながらの保存修理工事に入っています。工事期間は約7年にわたる見込みで、民間のシンクタンクが2017年に行った試算では、この工事に伴う経済損失は、最大190億円とされていて、工事期間中の経済対策が大きな課題となっています。
このため、松山市では、「ピンチをチャンスに」と、逆転の発想で新たなチャレンジを行っています。その名も「道後REBORNプロジェクト」。
手塚治虫の代表作「火の鳥」とコラボレーションし、道後温泉の「再生」を全国に発信します。
工事期間にあわせて「火の鳥」のオリジナルアニメやオブジェを制作するほか、本館の建物を利用したプロジェクションマッピングを実施するなど、工事中でも道後温泉を楽しむことができる仕掛けが多岐にわたり用意されています。
こうした行政の取組みと平行する形で、地元商店街や旅館関係者などの民間が、元気な道後の姿を観光客に伝えたいと今回のカウントダウンイベントを企画しました。
その中心メンバーで、道後商店街振興組合の石田匡暁理事長は、「世界中、日本中に多くの選択肢がある中で、道後を選んでくださった観光客の皆さんと最高の瞬間を共に味わい、そして、心のお土産を持って帰ってもらいたい」と、イベントを開催した意味を語ってくれました。
※道後商店街振興組合 石田匡暁理事長
明治、大正、昭和、平成、そして「令和」と、5つの時代を見守り続ける道後温泉本館。
約7年にわたる保存修理工事を行政と民間が力を合わせて乗り越え、どのように「再生」していくのか。行政と民間の今後の取り組みに注目です。