第68回「西日本豪雨から2年 愛媛は今年も大雨に・・・」

ニュース解説

■西日本豪雨から2年…

2020年7月7日。
西日本豪雨が愛媛県内に大きな被害の爪痕を残してから2年が経ちました。
この豪雨により犠牲になられた方々のご冥福を心よりお祈り致しますとともに、被害に遭われました皆様にお見舞いを申し上げます。
2018年6月28日から7月8日にかけて、前線や台風第7号が日本列島を襲い、西日本を中心に広い範囲で記録的な大雨となりました。
気象庁は、この大雨を「平成30年7月豪雨(=西日本豪雨)」と命名。
消防白書のまとめ(2018年度)による日本国内の被害状況です。

・死者:224人
・行方不明者:8人
・負傷者:459人(重傷113人、軽傷343人、程度不明3人)
・住家全壊:6,758棟、半壊:10,878棟、一部破損:3,917棟
・床上浸水:8,567棟、床下浸水:21,913棟など

愛媛県内でも記録的な大雨となり、甚大な被害が出ました。
愛媛県がまとめた県内の被害状況です。

・死者:27人(今治市2人・松山市2人、宇和島市11人、大洲市4人、西予市5人、鬼北町1人)
・行方不明者:1人(大洲市1人)
・災害関連死:6人(松山市2人、宇和島市2人、大洲市1人、西予市1人)
・住宅全壊:627棟、半壊:3,117棟、一部破損:149棟
・床上床下浸水:2,765棟
・農業被害:475億2764万3000円
・林業被害:174億6645万2000円
・水産被害:  4億9903万8000円

また、仮設住宅の入居者数は、2020年5月時点で、617人(今治市7人、八幡浜市10人、宇和島市173人、大洲市210人、西予市217人)にのぼり、今なお多くの方々が仮住まいでの生活を余儀なくされています。

■柑橘園地の復旧状況は

西日本豪雨では、多くの尊い命が失われたばかりではなく、経済面でも大きな影響を受けました。
このうち、愛媛の主要産業・柑橘栽培でも甚大な被害が出ました。

愛媛県によると、県内の柑橘を含む樹園地の被災面積は299ヘクタール。
このうち、国の災害復旧事業として、47ヘクタールで、復旧を目指しています。
愛媛県は、被災前の状況に戻す「原形復旧」、被災しなかった園地も合わせて整備する「改良復旧」、大規模な造成工事を行う「再編復旧」の3つの方法で、被災園地の復旧に当たっています。
災害復旧事業では、対象園地318か所のうち、222か所(「原形復旧」219か所・「改良復旧」3か所)で着工が始まっていて、31か所が完成しています(2020年5月末時点)。
また、「再編復旧」については、宇和島市吉田町・玉津地区、松山市興居島・由良地区、今治市大三島・上浦地区、宇和島市吉田町・立間地区の4つの地区で取り組んでいます。

愛媛県民の誇りでもある柑橘園地が1日でも早く、かつての黄金の輝きを取り戻すことを祈っています。

■経済面の復旧も大きな課題

愛媛県によりますと、西日本豪雨による県内の中小企業の被害額は、過去最大の494億円(2018年8月時点)。
このため、県は、2018年9月から被害を受けた県内の中小企業などを支援するため「グループ補助金」の申請受付を始めました。
「グループ補助金」は、共通目的のグループを作って、施設や設備の復旧に取り組む中小企業などに補助金を交付する制度で、愛媛県は、大洲市、西予市、宇和島市にそれぞれサテライトオフィスを設けて、被災者の相談に応じて来ました。
申請は、2019年9月末まで受け付けられ、認定されたグループは、60グループ。
最終的な補助金の交付決定事業者数は523事業者で、金額は66億3370万円でした。
このうち、511の事業者に支払が完了し、交付決定額の97.7%にあたる61億4651万円が支給されていているということで、被災された方々の早期復興に繋がることを期待しています。

■コロナ禍の住民避難
西日本豪雨では、住民避難にも大きな課題を残しました。
各自治体から住民向けに避難情報が出ていましたが、住民の避難行動には、繋がりませんでした。
このため、国は、西日本豪雨を機に「自らの命は自らが守る」という意識を住民に持ってもらおうと、5段階の警戒レベルを新たに設定し、防災情報を提供することにしました。

こうした中、西日本豪雨から2年を迎えた2020年7月7日。
愛媛県内は再び豪雨に見舞われました。

梅雨末期の長雨は7月はじめから降り続き、これまでに県内の多くの市と町では、連日のように5段階の警戒レベルのレベル4にあたる避難指示や避難勧告を出す事態となっています。
そんな中で、
住民避難については、新たな課題もあります。
それが新型コロナ対策です。

県内の各避難所では、避難住民に対する検温や健康チェックなどを行うなどの対策を取っていて、各地自体と住民には、防災と新型コロナ感染防止対策の両立が求められます。

■「自分の命は自分で守る」
西日本豪雨から2年。
ひと昔前と異なり、梅雨末期の雨は、長く、強く、そして、短時間に大量に降るようになりました。
九州や四国などを襲っている今回の豪雨では、熊本県などで多くの犠牲者を出すなど、広範囲で甚大な被害が出ていて、深い悲しみと強い恐怖を覚えます。
住民を不安に陥れているこの雨は、まだ、しばらく続きそうです。
さらに、梅雨が過ぎ去ったあとは、台風の襲来も懸念されます。
私たちは報道機関として、防災情報を素早く的確に視聴者の方々に提供できるように日々、力を尽くします。
皆様も「自分の命は自分で守る」という意識の下、防災情報を的確にキャッチして頂いて、「命を守る行動」に繋げて頂ければ幸いです。

※次回記事更新は7月16日(木)を予定しています。

記者プロフィール
この記事を書いた人
御手洗充雄

1976年松山市生まれ(現在44歳)、 1999年南海放送入社、2008年~報道部(記者として愛媛県警記者クラブ、松山市政記者クラブ、番町クラブなどを歴任し、現在はデスクとして活動中)
約10年の行政記者経験を基に県政・市政ニュースなどを分かりやすくお伝えます。
 

御手洗充雄をフォローする
ニュース解説
ニュースの深層 南海放送解説室