第7回「松山分水議論終結!?」

ニュース解説

2019年4月16日、松山分水を巡る議論に一つの区切りが付けられました。

人口50万人を超える松山市は、石手川ダムと地下水の2つだけという“脆弱な水源”が長年の大きな課題となっています。このため、松山市では、2005年12月の松山市議会の決議などを基に、第3の新規水源確保策として、「黒瀬ダム未利用水からの松山分水」を最優先に取り組んできました。

一方の西条市は、気候変動による降雨の変化や森林の荒廃などで、加茂川の流量が不安定な状態となっていて、かんがい期の地下水低下や塩水化が大きな課題となっています。

分水を求める松山市と、地下水保全を目指す西条市。

両市の協議が平行線をたどる中、2015年8月、愛媛県が西条市と松山市の水問題解決に向けた提案を行いました。具体的な内容は、「西条の水文化を将来にわたり守るため県営黒瀬ダムの具体的な活用方策の検討」など6項目。

この6つの提案について、およそ3年半にわたり議論を続けてきましたが、2019年3月、西条市の玉井市長が中村知事に対し、「県からの提案は分水につながるものと考えられることから応じることは困難」などと回答し、分水反対の意向を伝えました。

これに対し、中村知事は、松山市が準備している分水実現に向けた新たな独自提案の推移を見守り、最終結論を出したいとしていて、その独自提案の内容に注目が集まっていました。

そして、2019年4月16日。

松山市の野志市長が西条市を訪れ、玉井市長に独自提案を行いました。

提案は3項目で、
①松山市の節水等の取組みの情報提供
②両市の連携・交流協定の締結
③「渇水緊急時応援協定(仮称)」締結に向けた事務レベルでの意見交換の実施

加えて、提案本体を補う「補記」として、西条市の地下水保全が実現した場合に県営黒瀬ダムを活用した松山分水について検討して欲しいという内容でした。

これに対し、玉井市長は、3項目の提案には、概ね理解を示したものの、「分水に繋がるところの提案(補記)については、受け入れることが難しい困難だ」として、明確に分水反対の意向を示しました。その上で、「私としては、これで一つ区切りができたと思っている」と、分水問題の議論は終了したとの認識を示し、これからは、分水から渇水緊急時の応援に向けた議論にステージを移していきたいとしています。

西条市から厳しい結論を伝えられた野志市長は、新たな水源確保策について、松山分水も選択肢に残しながら今後、松山市議会などと協議したいとしています。

新規水源の確保に向けて、これから松山市がどのように取り組んでいくのか。
また、両市の意見交換を踏まえた愛媛県の対応は。

間もなく、多くの松山市民が毎年、水不足を心配する“夏”がやってきます。

記者プロフィール
この記事を書いた人
御手洗充雄

1976年松山市生まれ(現在42歳)、 1999年南海放送入社、2008年~報道部(愛媛県警記者クラブ、松山市政記者クラブ、番町クラブなどを歴任し、現在も記者として活動中)
約10年の行政記者経験を基に県政・市政ニュースを分かりやすくお伝えます。
 

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