第59回「伊予銀行第9代頭取 三好賢治・新頭取に聞く」

オピニオン室

■伊予銀行第9代頭取に就任

2020年4月。
140余年の歴史を持つ伊予銀行の9代目頭取に三好賢治氏が就任しました。
三好頭取は、松山市出身の60歳。
慶應義塾大学法学部を卒業後、1982年4月に伊予銀行入行。
資金証券部長や総合企画部長、営業本部副本部長などを歴任し、2017年6月に常務取締役に就任。
2019年6月からは、代表取締役専務を務め、2020年4月に第9代頭取に就任しました。

南海放送は、3月、就任前の三好頭取(当時専務)にインタビュー取材を行いました。

■新頭取としての抱負

伊予銀行は、10年ビジョンの計画として、2015年度に中期経営計画をスタートさせました。(1ステージ3年×3ステージ)
この計画は、2018年度から第2ステージを迎えていて、2021年度からは最終の第3ステージが始まります。
三好頭取は、2020年度で第2ステージを仕上げ、2021年度からスタートする第3ステージに独自カラーを反映させることになります。
計画の中で、伊予銀行が目指す姿は、「Digital-Human-Digital・Bank(デジタルヒューマンデジタルバンク)」。
デジタルをいかに活用して様々な事務処理を効率化するか。
ヒューマン(行員)の力で、顧客との接点を増やして、新たな価値を生み出すか。
顧客とデジタル(スマホなど)で簡単に銀行に接触できるのか。
これらのことが問われているそうです。

三好頭取は、「伊予銀行では、『日本一手続きが簡単な銀行』を合言葉に、店頭のタブレット端末で口座開設の手続きができるシステム“AGENT”(エージェント)を導入するなどデジタル化を積極的に進めている。」と胸を張ります。
その上で、「ここから先は、デジタライゼーションからデジタルトランスフォーメーションというステージに進んでいかなければならない。」と、更なる飛躍を誓いました。

■三好頭取の横顔


三好頭取は、6度目の挑戦となる今年2月の愛媛マラソンも完走し(4時間50分台)、通算9度目のフルマラソン完走を果たしたそうです。
趣味とまでは言えないと謙遜されましたが、体調管理のために50代から始めたマラソンのベストタイムは4時間20分台。
オンとオフを入れ替えるという意味で、ランニングで汗を流しています。
愛媛マラソンに向けては、2か月前くらいから休日を中心に本格的に調整を行い、本番では、十分納得いく走りが出来たそうです。

マラソンと仕事の共通点については、「38年銀行員をやっている中で持久力、積み重ねと言う意味ではマラソンも仕事も一つずつ積み重ねていかないと大成しない。いきなり走れと言っても走れないので積み重ねが大事」と、にこやかに話してくれました。

■新型コロナウイルスの影響と対応は

県内経済にも大きな影響を及ぼしている新型コロナウイルスについても見解を聞きました。
三好頭取は、「新型コロナウイルスは、2008年のリーマンショックと比べられるが、先が見通せないと」強い警戒感を示しました。

その影響について、「当初は、中国武漢からスタートして、サプライチェーンの供給サイドのショックが起こり、日を追うごとにグローバルに発展。国境を超えた人の往来ができなかったり、イベントが中止されたりするなど、消費・需要サイドのショックが起こり、長い期間をかけて深みにはまっている。」と分析しています。
その上で、県内の取引企業や個人にも大きな影響が出ているとして、「金融機関としてサポートすることが第一で、資金繰りや借り入れの顧客にしっかりと対応していく。」と、話しました。

■座右の銘は
三好頭取の座右の銘は、【自我作古】(じがさっこ)。

三好頭取の母校・慶應義塾大学の創始者・福沢諭吉の言葉で、慶應義塾大学によると「前人未踏の新しい分野に挑戦し、たとえ困難や試練が待ち受けていても、それに耐えて開拓するという勇気と使命感を現した言葉」としていて、同大学の信条となっています。
この気概に感銘を受けた三好頭取は、伊予銀行入行時から自身の座右の銘としてきたそうです。

新型コロナウイルスやマイナス金利、人口減少など、金融業界を取り巻く環境は厳しさを増す中で、伊予銀行の第9代頭取、三好頭取のかじ取りがスタートします。

※次回記事更新は、ゴールデンウィークをはさむため、5月14日(木)を予定しています。

記者プロフィール
この記事を書いた人
御手洗充雄

1976年松山市生まれ。
1999年南海放送入社、2008年~報道部(記者として愛媛県警記者クラブ、松山市政記者クラブ、番町クラブなどを歴任し、現在はデスクとして活動中)
約10年の行政記者経験を基に県政・市政ニュースなどを分かりやすくお伝えます。

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