第53回「【3人目の感染確認】 新型コロナ愛媛経済への影響」

ニュース解説

■愛媛県内3人目の感染確認

3月17日、愛媛県内で新型コロナウイルスの3人目の感染者が確認されました。
感染者は、松山市在住の女性会社員(30代)です。
この女性は、海外勤務のためイタリア滞在中の3月14日に咳の症状が出ます。
3月16日に一時帰国のためイタリア・ローマから成田空港に到着。
成田空港から羽田空港まではリムジンバスを利用し、羽田空港から松山空港までは飛行機で移動。
松山空港からは、家族1人が運転する自家用車で帰宅し、自宅で過ごしました。
16日の夜には、37.5℃、17日には38.2℃の発熱があったため、「帰国者・接触者相談センター」に電話相談し、「帰国者・接触者外来」を受診。
検査の結果、陽性反応が出たため県内の感染症指定医療機関に入院しました。
女性の家族は3人で、潜伏期間などを考慮して、4~5日後にPCR検査を行うことになっています。
中村知事は、「海外で滞在中に感染した可能性が高く、帰国後も冷静に行動していて、現時点で県内で感染が拡大する可能性は極めて低い」との見解を示しています。

■世界経済に大きな影響

3月12日には、WHO(世界保健機関)が世界的大流行“パンデミック”を宣言するなど感染拡大に歯止めがかからない新型コロナウイルス。

その猛威は、いまやアジアだけにとどまらず、アメリカやスペイン、それにイタリアなど世界各地に波及し、各国で非常事態や緊急事態が宣言される事態となっています。
このため、入国を制限する国や地域も出てきていて、人の交流や物流が滞り、世界経済にも大きな影響が出てきています。

■愛媛県内でも“約50%”の企業が【売り上げ減少】
この「新型コロナウイルス」の影響について、民間の信用調査会社「東京商工リサーチ松山支店」が、県内企業を対象にインターネットでアンケート調査を実施しました。
(2020年3月2日~8日・213社から回答)

それによりますと、「新型コロナウイルス」感染が拡大した2020年2月の売り上げについて、過半数の52.9%の企業が、前年同月(2019年2月)と比べて、減少していると回答しています。
また、企業活動への影響について質問したところ、「すでに出ている」と回答した企業が58.2%、「今後出る可能性がある」と回答した企業が36.2%と、合計94.4%の企業が“何らかの影響がある”と答えています。
このように、すでに、新型コロナウイルスが、愛媛経済にも暗い影を落としていることが分かります。

■世界中で観光業は死活問題
人の交流がなくなるということは、様々な分野に影響を及ぼしますが、その顕著な業種として観光業が挙げられます。

テレビニュースで、アメリカやヨーロッパなど世界的に有名な観光地が閑散としている映像をよく見かけるようになりました。
県内に目を移してみると、四国最大の観光地・道後温泉にも影響が出ているようです。
愛媛県が新型コロナウイルスに伴う県内企業への経済支援のために3月13日に実施した緊急会合では、愛媛経済同友会から厳しい現状が報告されました。

※撮影:3月15日(日)午後4時頃
それによりますと、道後のホテルや旅館などで、2020年1月24日から3月9日までの宿泊予約のキャンセル数が5万3000人を超えていて、3月1日から5月31日までの宿泊予約が例年の約20万人から約6万5000人(約3分の1)に激減しているということです。
こうした状況の中、道後地区で最大規模のホテルが3月末から4月下旬にかけて臨時休業する事態となっています。
また、観光客の減少は、宿泊施設だけでなく、間接的な影響も及ぼしています。

※撮影:3月15日(日)午後4時頃
観光客への土産物などを扱う道後商店街の関係者によりますと、店舗の軒先に消毒液を設置するなどコロナ対策を徹底していますが、小中高校が臨時休校になってから目に見える勢いで、客足が止まり、飲食、物販、コンビニなどで売り上げは、例年の半分以下にまで落ち込んでいるということです。
さらに、道後を中心にホテルや旅館などで宴会数が減少しているため、魚などの食材の注文が大幅に減っているというのです。

■臨時休校 約4割の企業がマイナス影響
再び、東京商工リサーチのアンケート調査です。
産業別に見ると、新型コロナの影響が「すでに出ている」と回答したのは、卸売業が69.8%と最も高く、宿泊業や旅行業、飲食業を含むサービス業が66.7%と続きました。
一方、2月27日に政府が要請した「小中高校の臨時休校」について、39.3%の企業が「マイナスの影響を受けている」と回答しています。
具体的には、「子どもを抱えている従業員の出社が困難になった」が81.3%と最も多く、次いで、「学校向けの商品・サービスの売上減少」が21.3%にのぼっています。

■経済面での支援は

ダウ平均や日経平均株価が歴史的な下げ幅を記録するなど、世界株安が加速する中、アメリカの中央銀行にあたるFRBが事実上のゼロ金利政策に復帰したほか、日銀も追加の金融緩和策を決めました。

※FRBと日本銀行
これらの政策は、株価の下支えが狙いですが、県内で活動する中小企業などへの経済面での支援は行き届いているのでしょうか。
日本政府は、3月10日に新型コロナウイルス緊急対策の第2弾を発表しました。
この中には、休校に伴い休止となった給食費の保護者への返還や食材納入業者への支援や中小企業などを支援する新たな貸付制度などが盛り込まれています。
しかしながら、全国的にスポーツやイベントの実施自粛が3月20日頃まで延期されることに伴い、関連企業の仕事が無くなったり、非正規労働者の雇止めが起こるなど緊急対策だけではフォローしきれない事態も生じているのではないでしょうか。

世界規模で、新型コロナウイルスの終息のメドが立たない中で、政府には、企業倒産や失業などの不測の事態が起こらないように、地域の実情に沿ったきめ細やかな経済支援が求められます。

※次回の記事更新は、3月26日(木)の予定です。

記者プロフィール
この記事を書いた人
御手洗充雄

1976年松山市生まれ。
1999年南海放送入社、2008年~報道部(記者として愛媛県警記者クラブ、松山市政記者クラブ、番町クラブなどを歴任し、現在はデスクとして活動中)
約10年の行政記者経験を基に県政・市政ニュースなどを分かりやすくお伝えます。

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