eスポーツ⑧「ゲームは人を感動させる」事実

ニュース解説

8日(日)、南海放送からeスポーツ大会『スティーロ杯ゼロ』のTwitchへの生配信を行いました。

Twitchとはアマゾンのゲームに特化した配信サイトで、世界中からゲーム好きが集まります。

愛媛県eスポーツ連合(理事長・田中和彦 南海放送社長)主催で、愛媛からTwitchを使ってeスポーツ大会を世界に配信するのは初めてです。

ゲームタイトルは「リーグオブレジェンド」というライアットゲームズが運営する、5人がチームを組んで対戦するチーム対抗戦で、世界で最も競技人口が多いといわれています。

優勝したのは、今治市玉川町を活性化しようと結成された『e湯鈍川温泉』。

数々のドラマがありましたが、私が感動した2つのシーンをご紹介します。

◆感動①「karaagearashi(から揚げ嵐)は絶対、逃げん!」

出場した県内4チームの中に、県内で初めて障がいを持つ児童・生徒で結成されたチームがあります。

主に発達障がいの子どもたちが通う、マルクスコラ放課後等デイサ―ビスで結成された『サイクロンズ』です。

試合当日、選手がオンライン参加の会場となった教室に行ってみると、こんな応援が・・・。

教室の仲間からの応援メッセージです!

サイクロンズは新型コロナウイルス問題で、主会場の南海放送に来ることが出来ず、ネット対戦となり、さらに応援の人数も制限せざるを得ませんでした。

ちなみに対戦相手は、河原学園女子チーム。手前に選手がいないのは、サイクロンズがネット参加だからです。

教室の仲間の応援が励みになったのか、サイクロンズの選手の一人が実況・解説者の注目を集めました。

サモナ―ネーム(ゲーム内で使用する名前)、karaagearashi(から揚げ嵐)です。

から揚げ嵐は、河原学園女子チームの複数の敵に囲まれても、逃げません。とにかく、突進して戦います。

「から揚げ嵐は逃げん!男らしい」「から揚げ嵐、めっちゃイイ!ゲームを楽しんでる」(実況)。

最終的にサイクロンズが勝利をおさめ、教室と南海放送会場とを中継で繋いでインタビューしたところ・・・

インタビューで現れた、から揚げ嵐は・・・

実は、小学3年生。

「めっちゃ、カワイイ子じゃないですか・・・」

実況・解説者もビックリ、会場もあ然・・・

小さな子のファイト溢れるプレーに、改めてスタッフ一同、感動しました。

◆感動② 愛媛優勝チームが障がい者チームに「完敗です」

愛媛優勝チームの『e湯鈍川温泉』が、チャレンジマッチとして挑戦したのが北海道八雲病院のチーム『うまじろう』です。

八雲病院は函館市から約70キロ、筋ジストロフィーなど重い障がいの専門医療を手がけ、約100人がリハビリなどに取り組んでいます。

病院のスタッフによると「まだ若い人が多いので、自分が何者かになりたいと思っている」といいます。

そんなみんなが考えたプロジェクトが「ゲームやろうぜ!プロジェクト」。

それぞれが、身体の個性に合わせたコントローラーでプレイします。

もちろん、大会にはネット参加。愛媛と北海道チームがオンラインで対戦します。

試合が始まるとすぐに実力の差は明らかに・・・。

e湯鈍川温泉チームのメンバーから試合中、たまらず「なんだ、クソ強ぇ~!」と叫び声も・・・。

試合終了後、e湯鈍川温泉チームのリーダーから漏れた言葉は「完敗です」の一言。

しかし、勝者の「うまじろう」のリーダー、吉成健太朗さんも多くを語りませんでした。

司会の「愛媛の選手と今後も交流を深めてくれますか?」との問いかけに「是非、お願いします」と答えたことだけが、印象に残っています。

私は先月、八雲病院で吉成さんに取材、インタビューをしましたが、吉成さんは問い掛ければ、たくさん答えてくれます。

中継で、あまり多くを語らなかったのは、負けた側への配慮だったように私は思います。

スポーツマンシップだと感じました。

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私が「e湯鈍川温泉」と「うまじろう」の試合に感動したのは、「うまじろう」のメンバーが障がい者だからです。もし、健常者のプロチームだったら、感動しなかったと思います。

私の気持ちの中には、『障がい者を特別視してはいけない』という”強制的な”道徳観があり、「障がい者だから感動した」と口にするのはタブーのように強制されています。

しかし、あの試合を見ると、「障がい者にあのプレイが出来るのか」と素直に感動しました。

ゲームには人を感動させる力があると思います。

記者プロフィール
この記事を書いた人
三谷隆司

今治市出身(55歳)立教大学卒。1988年南海放送入社後、新居浜支局記者、県政担当記者などを経て、報道部長。現在、執行役員報道局長・解説委員長

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