■【愛媛県産養殖スマ】=【媛スマ】
このほど、愛媛オリジナルの養殖スマの総称が【媛(ひめ)スマ】に決定しました。
【スマ】は、愛媛県と愛媛大学が2013年度から開発研究を進めてきた新たな養殖魚です。
小型のマグロ類で、資源保護が求められている【クロマグロ】に味が似ていることから【全身トロ】の養殖魚として、いま注目を集めています。
■【媛スマ】の上位ブランドは【伊予の媛貴海】
愛媛県では、養殖スマのうち、
○変形なしで2、5㎏以上
○脂肪含有率25%以上
○一本釣りで取り上げ、船上絞め・血抜き
○高機能氷による輸送
○専用タグ装着
これらの基準を満たしたものを【伊予の媛貴海(いよのひめたかみ)】として、トップブランド化しています。
【伊予の媛貴海】は、【全身トロ(背は中トロ、腹は大トロ)】でありながらマグロより脂のきめが細かく、なめらかな柔らかい食感が特徴です。
希少な高級魚として、主に東京や大阪のデパートや料亭などに出荷されています。
■【媛スマ】として付加価値アップ
2013年度から開発研究がスタートした愛媛県の養殖スマ。
2016年1月に大阪の阪神百貨店で、養殖スマとして全国で初めて一般販売を行い、その年の5月には、完全養殖に成功しました。
この養殖スマの出荷量は、次のように推移しています。
2015年度 約1,500尾
2016年度 約 700尾
2017年度 約6,000尾
2018年度 約3,600尾(見込み)
このうち、上位ブランドの「伊予の媛貴海」として出荷されるスマは、全体の約30%となっています。
残りの70%の養殖スマについては、これまでブランド名が無く【スマ】として流通していたため、愛媛県は、その付加価値を高めるため、【媛スマ】とネーミングしました。
また、2019年5月には、生産の拡大や安定を図るため、愛媛県宇和島市にある愛媛県水産研究センターに6基の大型水槽を備えた新しい生産施設を稼働させました。
これにより2022年度には、年間8万尾のスマの稚魚の生産を目指すことができるようになりました。
■【媛スマ】の普及を目指して
2019年11月30日、愛媛の新しいブランド養殖魚【媛スマ】の一般販売が愛媛県内でスタートしました。
イオンスタイル松山で行われた試食販売会には、愛媛県立宇和島水産高校水産食品科の男子生徒「魚食男子(ぎょしょくだんし)」による【媛スマ】の解体ショーが行われ、用意された刺身や寿司が飛ぶように売れていきました。
この【媛スマ】、愛媛県内では、養殖を行っている地元愛南町の飲食店のほか、イオンスタイル松山などでも販売されていますが、まだ、流通量は限られています。
このため、愛媛県は、国内外への販売戦略の検討および計画的な生産に係る体制構築に向け、愛南町、愛媛大学、愛南漁協、生産者で構成する「媛スマ普及促進協議会」を設置しました。
この【媛スマ】が、今後、愛媛の新たな養殖魚として、全国そして世界に普及していくことができるのか、挑戦は始まったばかりです。