祝・FC今治Jリーグ昇格!!岡田会長が会見で語った4年間。

オピニオン室

元日本代表監督岡田武史さんがFC今治のオーナーに就任して4シーズン目。FC今治がついに夢の一歩を踏み出した。11月10日のホームゲームで勝利しJ3昇格条件となる年間4位以内を確定させ11月18日のJリーグ理事会で正式にJ3昇格が承認された。結局、今年の最終成績は13勝12分け5敗。通算成績は3位となった。

今年のFC今治は大型補強を行った。元日本代表のDF駒野友一、MF橋本英郎を獲得。またJ1経験のあるFW内村圭宏も獲得した。そして岡田JAPANをコーチとして支え、その後、広島、熊本で監督を務めた小野剛氏を監督に据えた。なりふり構わず「J昇格」を狙う布陣をとった。

昇格が決まった11月10日。岡田会長が会見を開きこれまでの道のりを振り返った。

下記の文章は会見の書き起しである。

◆岡田武史会長

「わたしは万全の態勢で臨んだつもりで(J昇格を決めるのが)ちょっと遅いぐらいかなと思っておりました。でもホームで決めてくれてよかったなと。ただこれは単なる通過点なので、これが終着駅ではないので、ここから物足りないところをチーム努力、またバックオフィスとしての力をもっとつけていかないとJリーグでは厳しいだろうという風に考えております。今日の試合、ホームで(昇格を)決めて、今治の人やサポーターの人に喜んでもらえたっていうのが一番良かったかなと思っているところです」

「JFLが難しいとかよく言いますけど、別に対戦相手がリーガエスパニョーラやプレミアとやる訳じゃなくてね、そういう意味では周りがFC今治に対しては100%以上の力でくるっていうのを分かった上での闘いだと思うので、ちょっと苦しみすぎたかなと。もうちょっとスムーズに行けると想定していたんですけど、まあそれでも結果的には最終的に決めてくれたので、どうしても今年は上がらないと昨年は許していただいた支援してくれた方々に今年はもう許してもらえないというふうに思っていたので、まずは上がること、それを達成してくれたので色んな苦しい場面もありましたけど結果的にはよかったかなと」

「想定よりも1年遅れている。ただ、メソッドも当初は1年でできるのが、3年かかっている。現実そんな簡単じゃないと色んな壁にぶつかっています。経営の上でもこれからスポンサー規模を大きくしたり、それ以外の事業収入を得たりしていかないと、この今治で目標の30億っていうのはかなり大変なことなので、もっともっと新たな発想をしていかなきゃいけないと。まあ全ての意味で予定より現実遅れていますけど、我々にとっては貴重な力をつけるための4年だったと思っています」

「昨年上がれなかったときにぼくが怒ることは全て必要なことを怒ると社員にも言っていて、なぜ上がれなかったか意味を考えろと。まあ考えたら、あのまま上がっていたら岡田がまたなんとかするだろうってなっていたのを上がれなかったおかげで今治の人たちが自分事として来年は上がるぞと思ってくれた。そしてスポンサーさんも増額するからいい選手獲れとか、代表電話にスポンサーやらしてくれとか1千万円寄付するとかかかってきて今治が動き出した。4年間は今治が動き出すために必要だったんだと。そういう意味では4年かかりましたけど全て必要なことが起こって、それが我々の力になってきたとそういうふうに思っています」

「元々来たときはサッカーのことしか考えてなかったんですけど、町の中心のドンドビを見たら更地があり、商店街はだれも歩いてない。このままでは我々が強くなっても誰も見に来てもらうお客さんがいなくなる。または場所がなくなるということで、我々が一緒になって元気になる方法がないかっていう活動を始めています。サッカー強いです、おもしろいです、見に来てくださいだけじゃこれは必ず行き詰ると。お客さんの求めているもの、または今治に必要なもの、そういうものを我々は提供しなきゃいけないということで、サッカー以外の色んな活動をしてきて、ようやくそういうのが皆さんにご理解いただけるようになってきたのかなというふうに思っています」

「これからJリーグに向かってまずJ3では優勝しても僕らはJ2には上がれません。スタジアムがないので。スタジアムはスタジアムで進めていますけど、まずは来年1年しっかりとその先のチーム作りっていうのをしていってもらおうと。我々は新スタジアムの準備。または新しい事業収入。そしてまあメソッドの事業化とかまあやることはまだまだいっぱい山ほどあるんで、すぐにもう今日スタートするぐらいのつもりでいます」

「経営と監督は色々似たとこがありますけど根本的に違います。プロの監督っていうのはこの背中に重い塊が乗っているのをこのヤローって堪えて、そして自分がポリシーに反するんだったら辞めるって言って辞める。でも経営者は、真綿でじわじわと首を絞められるような、あ、これ3ヵ月後給料払えなくなるかもしんないとか資金繰りを心配したり、そして辞めたいと思っても「やーめた」って言えない。ぼくのために集まってきた従業員、その家族に給料を払わないといけない。やっぱそういう根本的なところでは全然違うチャレンジだったと。やることは組織マネジメントとしては似ているんですけど元のところはちょっと違うなと。でも自分にとっては新たなチャレンジをやらせていただいて自分自身成長させてもらったと思っています」

「まあ正直、夢を見せるっていうか僕が夢を見て、ホラに近い夢を語っていただけで、そしたらどんどんどんどんこのスタジアムができ、そして次は1万人のスタジアムが恐らくできます。それも夢を語っていただけなんですけど、みなさんがそれに共感して力を貸してくれて、チームも選手も集まってきてくれて、指導者、スタッフ、みんなが、いつ潰れるかもわかんない、給料も前職より随分安いのに集まってきてくれた。僕はみなさんに夢を見せようなんて全く思ってなくて、わがままですけど自分の夢を追いかけていただけで、そしたらみなさんが助けてくださったと。これからもまだ僕は壮大な夢を語るんで、騙されてきている人も多くなってきているのでスタジアムも建っちゃうんじゃないかなって思っているんですけど。これを言うとまた怒られるんだけど行政に先走るなって。まあいいでしょう。だから僕は夢を語ってリスクを犯してチャレンジしていこうと思っています」

今治は岡田会長と一緒に「夢」を語る街に生まれ変わろうとしている。

記者プロフィール
この記事を書いた人
藤田勇次郎

1975年生まれ。奈良県大和郡山市出身。1998年入社。
高校野球・サッカー・日米大学野球・マラソン・トライアスロン・アームレスリング・駅伝・ボウリング・剣道・ビーチバレーなど各種実況担当。
「松山大学女子駅伝部」を10年にわたって取材。4本のドキュメンタリーを制作。

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