第39回「12月1日スタート【ながら運転】厳罰化」

ニュース解説


■大きな社会問題
スマートフォンなどを使用しながら車を運転するいわゆる【ながら運転】がいま大きな社会問題となっています。
記憶に新しいものでは、2016年10月に愛知県一宮市でスマートフォンでゲームをしながら運転していた男のトラックが横断歩道を横断中の小学4年生の男の子をはねて死亡させたという痛ましい事故がありました。
スマートフォンの機能性が向上し、利用者も増加する中で、こうした悲惨な事故を防ぐための対策が急務となっています。

■関連事故が10年で2倍以上に

道路交通法では、車の走行中にスマートフォンやカーナビゲーションを注視したり、携帯電話などを手に持って通話することが禁止されています。
この10年間、愛媛県内で発生した【ながら運転】が関係する事故の件数です。
※年別事故件数(うち死亡者数)
2009年12件(1人)
2010年13件(1人)
2011年 8件(0人)
2012年10件(0人)
2013年20件(0人)
2014年31件(2人)
2015年18件(1人)
2016年13件(1人)
2017年17件(0人)
2018年27件(1人)
※2019年13件(1人)10月末まで
このように県内だけで見ても2009年と2018年を比較して、10年間で事故件数は2倍以上に増加しています。
また、全国的に見ても2008年には、1,299件だった事故件数が2018年には、2,790件と約10年間で、ほぼ倍増しています。

こうした事態を受け、政府は、2019年12月1日に【ながら運転】の罰則を強化した改正道路交通法を施行しました。

■ながら運転の事故で【即免停】

これまでの道路交通法では、車の走行中に携帯電話などを使う【ながら運転】の違反があったとき普通車の場合、違反点数が1点。反則金6,000円が課せられていました。
一方、今回の改正に伴い、普通車の場合、違反点数は3点。反則金は1万8,000円と、それぞれ【3倍】に引き上げられました。
これは、25キロ以上30キロ未満のスピード違反と同等の違反点数・反則金です。
さらに、【ながら運転】をして交通事故を起こしたり、交通の危険を生じさせた場合は、普通車で、違反点数は2点から6点に引き上げられたため、1回の違反で【即免許停止】となります。

■様々な【ながら運転】にも注意

スマートフォンや携帯電話以外にも様々な【ながら運転】があります。
食事をしながら、タバコを吸いながら、メイクをしながら。
これらの【ながら運転】は、即検挙の対象ではありませんが、これの【ながら】で事故を起こすと安全運転義務違反として罰金が課せられます。

また、自転車の【ながら運転】も警察から指導・警告の対象となり、警告を無視したり違反を繰り返したりするなど悪質なケースは罰金が課せられます。
イヤホンを装着して、スマートフォンを操作しながら自転車を運転している方をよく見かけます。聴覚と視覚を奪われた状態で自転車を運転することは、本人はもとより歩行者や車の運転手などほかの道路利用者にも危険を与えかねません。

最後に、警察庁が公表している自動車が2秒間に進む距離です。
(運転者が画像を見ることにより危険を感じる時間が2秒以上)
時速10キロ:約 5.6メートル
時速20キロ:約11.1メートル
時速30キロ:約16.7メートル
時速40キロ:約22.2メートル
時速50キロ:約27.8メートル
時速60キロ:約33.3メートル
わずか2秒でも運転者が思っている以上に車は走行をしていることが分かります。
もちろんスピードがさらに上がれば、その分、走行距離も伸びることになります。

一瞬の油断が重大な事故に直結する危険な【ながら運転】。
年末を控え、慌ただしい日々が続きますが、ハンドルを握ったら、時間と心に余裕を持った安全運転を心がけたいものです。

記者プロフィール
この記事を書いた人
御手洗充雄

1976年松山市生まれ。
1999年南海放送入社、2008年~報道部(記者として愛媛県警記者クラブ、松山市政記者クラブ、番町クラブなどを歴任し、現在はデスクとして活動中)
約10年の行政記者経験を基に県政・市政ニュースなどを分かりやすくお伝えます。

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