愛媛中学駅伝競走大会 新居浜西がアベックV

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11月16日(土)。新居浜市東雲競技場国領川河川敷コースで男子第39回・女子第28回愛媛中学駅伝競走大会が行われた。区間・距離は全国大会と同じで女子は1区・5区が3キロ、2・3・4区が2キロを走る全5区間12キロ。男子は全てのランナーが3キロを走る全6区間18キロ。男子68校・女子70校が参加し健脚を競った。

この大会の魅力は、地区予選がなく参加意思を示した全ての学校が大会に参加できること。「陸上部」の無い学校や、全校生徒が100人を切る小規模校なども様々な部活動の生徒を集め学校の“選抜”チームを作りスタートラインに並ぶ。バスケット部、サッカー部、野球部、バレー部、ソフトテニス部、水泳部、剣道部・・・吹奏楽部の選手も学校によってはエントリーしている。まさに町単位で存在している中学校の代表選手が集まった「大競争大会」なのである。

■2011年全国に激震が走ったあの日

愛媛県の中学駅伝のレベルを格段に引き上げたのが2011年の新居浜東中学の女子。この学校にも「陸上部」はない。しかしバスケットボール部顧問坂本桂子先生が、バスケットボール部員を中心に「球技」と「駅伝」練習を両立させ強力なチームを築いた。決して体格に恵まれた選手はいないが「本業」のバスケットでは、駅伝練習で鍛え上げた「走力」と「体力」でゲームの終盤に猛攻を見せ県ベスト4。そして駅伝は県で優勝するだけでなく、全国制覇を成し遂げたのだ。全国中学駅伝をTV中継した山口朝日放送(だったと記憶している)は1500mや3000mの陸上成績が全くないチームが先頭を走っていることに驚き、実況者は「愛媛の新居浜東。全員バスケットボール部員です!」を連呼していた。驚くべきはそのタイム。5区間中3区間で区間賞を獲得しコース新記録を樹立したのだ。この結果に坂本先生も涙を流し「信じられんわー」を連呼していた。これまでも新居浜地区は独自の市駅伝を開催しており駅伝熱の高い地域であったが、この全国制覇を境にいろいろな学校が「打倒新居浜東」に燃え、愛媛の中学駅伝は確実に1ランクレベルが上がった。

■坂本先生に追いつき追い越せ

新居浜東が全国大会で優勝して以降、男・女とも愛媛の代表チームは全国駅伝で一桁順位が当たり前になるほど強くなった。特に坂本先生率いる王者・新居浜東のライバルとして台頭してきたのが矢野有香監督率いる新居浜西。矢野先生も坂本先生と同じく本職は陸上ではない。自身の専門はハンドボールである。

▼矢野有香先生「坂本先生が生徒と一丸となりバスケットも駅伝もいいチームを作ってらっしゃったので憧れた。先生に弟子入りしていろいろな事を教えてもらった。坂本先生には本当に感謝しています」

矢野先生も坂本先生のように生徒の中に飛び込み生徒と共に泣き・笑い成長した。そして2015年ついに新居浜東の6連覇を阻み県の頂点に立った。また女子だけではなく男子も優勝。全国では女子9位。男子4位という好成績を残した。翌2016年も新居浜西が県大会アベック優勝。全国の男子は愛媛県勢最高記録となる3位。女子も9位に入った。

■目標は『日本一』

さて今年の大会。女子は優勝候補新居浜西が2区以降全ての区間で区間賞をとり3年ぶりの優勝。混戦が予想された男子は、1区で四国総体800m総体優勝の実績を持つ三島南の斎藤が区間賞を獲得。2区で宇和島南中等教育学校がトップに立った。3区でアベックVを目標に掲げている新居浜西の松木がトップに立ち。4区の西原がさらにその差を広げ2位以下に50秒の差をつけて勝負を決めた。5区豊田が堅実な走りでアンカー田中に繋いで連覇を達成。3年ぶりのアベック優勝を果たした。選手に話を聞くと「このままでは全国の頂点に立てない。残り1ヵ月でさらに強くなり男女アベック日本一を目指したい」と語った。矢野監督も「去年の全国で京都の桂中学がアベック日本一を果たす姿を見た。同じ中学生。私たちもできる。やりたい。」と気持ちを新たにしていた。

新居浜西が出場する全国中学駅伝は12月15日滋賀県で行われる。

ちなみにこの新居浜西にも「陸上部」はない。

記者プロフィール
この記事を書いた人
藤田勇次郎

1975年生まれ。奈良県大和郡山市出身。1998年入社。
高校野球・サッカー・日米大学野球・マラソン・トライアスロン・アームレスリング・駅伝・ボウリング・剣道・ビーチバレーなど各種実況担当。
「松山大学女子駅伝部」を10年にわたって取材。4本のドキュメンタリーを制作。

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