第37回「【道後アート】魅力の謎!?に迫る」

オピニオン室

■【道後アート2019・2020】開催中
道後温泉本館は、2019年1月から約7年間にわたる保存修理工事に入っています。

工事は、営業を続けながら行われますが、観光客の減少が懸念されています。
こうした中、松山市では、アートを通じた交流人口の増加を目的に2019年5月~2021年2月末までの間、アートプロジェクト「道後アート2019・2020」を開催しています。

■障害者アートで【道後】を彩る
「道後アート2019・2020」のプログラムの一つとして、2019年10月から「ひみつジャナイギャラリー」がスタートしました。
このプログラムの最大の特徴は、障害者アーティストが参加していること。

「道後アート2019・2020」を監修するアーティストで、東京藝術大学美術学部長の日比野克彦さんは、「障害者に限らず人それぞれ特性があり、人と違う自分だけの秘密を持っている。そんな秘密を秘密じゃなくして共有できるまちづくりをしたい」と、プロジェクトに込めた思いを語っています。
「ひみつジャナイギャラリー」では、28組の障害者アーティストのアート作品約70点が道後商店街の店舗やホテル・旅館などに展示されていて、道後のまちを華やかに彩っています。

☆沖野あゆみ×山澤商店

☆橋本大二郎×ひめや

☆mayutamago×道後の町屋

☆Tシャツギャラリー(絣屋)

■道後のまちを盛り上げたい
このプログラムに参加している創業明治19年の道後の老舗酒屋、山澤商店は、自社倉庫を障害者アートのストックギャラリーとして提供しています。
ビールや酒を保管している倉庫を手作りで改装。倉庫機能を一部残しつつ、「ひみつジャナイギャラリー」に参加している障害者アーティストの作品を一堂に展示しています。

その作品は、オイルパステル画に水彩画、立体造形など個性豊か。
その中でも、大きさ約3メートル四方の倉庫シャッター扉には、障害者アーティスト・沖野あゆみさん作の「パンダ」と「うつぼ」が大きく描かれていて存在感は抜群です。

※沖野あゆみさん
また、山澤商店が実際に配達に使用している軽トラックには、沖野さんが山澤商店をイメージして書き下ろした酒樽や酒蔵、徳利のほか、山澤商店の山澤満代表の肖像画などがラッピングされていて、観光客からも注目を集めていました。

※沖野さんの作品原画
山澤代表は、「ストックギャラリーから障害者アートを出荷することで、新しい作品の循環に繋げ、道後の町全体を盛り上げていきたい」とこれからの目標を語ってくれました。

■【一遍上人ゆかりのエリア】の活性化を
上人坂エリアとは、一遍上人生誕地として知られる宝厳寺(ほうごんじ)周辺を指します。
道後温泉本館から歩いてわずか数分の場所に位置していて、かつては、旅館や飲食店が多数、軒を連ねていましが、いまは空き地が目立ちます。
このため道後地区の活性化を図る上で、上人坂エリアをいかに盛り上げていくのかが大きな課題となっています。

「道後アート2019・2020」では、この上人坂エリアに賑わいを取り戻そうと、道後アートの拠点となり、その後も有効活用できる交流拠点【ひみつジャナイ基地】を2020年5月下旬までに完成させる予定です。

地域住民や観光客、外国人、障害者、お年寄り、こどもなどあらゆる多様な人々が交流し、新たな文化や賑わいが生まれる。
そんな拠点を目指す、参加型アートプロジェクト【道後アート】のこれからに目が離せません。

記者プロフィール
この記事を書いた人
御手洗充雄

1976年松山市生まれ。
1999年南海放送入社、2008年~報道部(記者として愛媛県警記者クラブ、松山市政記者クラブ、番町クラブなどを歴任し、現在はデスクとして活動中)
約10年の行政記者経験を基に県政・市政ニュースなどを分かりやすくお伝えます。

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