■【愛媛・愛南町 カツオ水揚げ日本一の町】の挑戦
カツオの水揚げ量日本一を誇る愛媛県愛南町深浦。
この愛媛県〝最南端″の漁業の町から〝最先端技術″で世界を目指す企業があります。
有限会社ハマスイです。
ハマスイの濵田嘉之社長は「一言で言えば〝夢のある技術″ができた」と、このほど開発した〝最先端技術に胸を張ります。
■【驚くほど真っ白】な切り身のヒミツ
濵田社長が自信を持つ〝夢のある技術″とは、一体のどのような技術なのでしょうか?
こちらが一般的なブリをさばいた切り身(刺身)です。
脂がほどよく乗っていて色つやもきれいです。
一方、〝夢のある技術″を使ったブリの切り身がこちら。
身の色は、驚くほど〝真っ白″で、一般的な切り身と比較しても、違いは一目瞭然。
秘密は、濵田社長が開発した特許技術にあります。
詳細については、企業秘密のため説明を差し控えられましたが、魚をさばく前の仮死状態のときに毛細血管から血を抜き取る技術だということです。
エラや内臓を含め、魚の体内には、血が残っていないため、切り身に血生臭さが無く、ブリの旨みがダイレクトに舌に伝わってきました。
また、愛媛大学の調査によると、この〝夢のある技術″で、さばいた魚を一般的な魚と比較したところ、およそ2倍にあたる10日間の冷蔵保存が可能だという結果が出たそうです。
■【世界初??】トリュフ風味のブリ…その味は
この〝最先端技術″。実はもう一つ驚くべき技術があるのです。
血を抜く代わりに香りの付いた液体や果汁を魚の体内に入れることで、魚に好きな風味づけができるというのです。
そのバリエーションは無限大。
私が取材した日は、紅茶、ワサビ、河内晩柑(愛南ゴールド)、そして、世界三大珍味の一つトリュフ風味のブリを用意してもらいました。
普段から高級食材のトリュフなんて食べていない私。
期待に胸を躍らせながらトリュフ風味のブリを口に運ぶと…。
トリュフの濃厚な香りが鼻を抜けました。
うーん!これがトリュフか!
贅沢な気持ちになりました。
さらにこちらのブリも珍しい、紅茶風味です。
意外に思われるかもしれませんが、ブリ特有の脂っぽさや臭みが紅茶の風味で程よく中和されてさっぱりとした味わいとなり、美味しかったです。
この香りづけされた魚の刺身や握り寿司は、今年8月に東京で開催されたシーフードの国際的展示商談会「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」で、海外のバイヤーなどからも絶賛されたということです。
■愛南町の活性化を
この技術を用いた場合、エサにフルーツなどを混ぜ込んで魚体に風味づけをするフルーツフィッシュとは異なり、1匹1匹に直接、香りづけを行うことができるため、1分の1の確率で、顧客からのオーダーに応えることができます。
濵田社長が開発に至った動機の中に女性や若者を中心とする日本人の魚離れがあります。
女性や若者が嫌う魚の生臭さを取り除き、様々な香りづけをされた魚を広く流通させることで、魚食の普及拡大を目指します。
さらに、愛南町を例に挙げると、町の特産品、河内晩柑(愛南ゴールド)を魚の香りづけに使用することで、愛南町のPRに繋がるなど、この技術は、地域活性化にも一役買えます。
濵田社長は、自身の会社とは別に「一般社団法人愛南町元気100年プロジェクト」の中心的役割を担っていて、「愛媛の最南端の町から世界に発信していきたい」と、愛南町の活性化に向けた意気込みを語ってくれました。
愛媛県の〝最南端″から〝最先端技術で″世界を目指す企業の挑戦に注目です。