MGC迫る!最終選考からの下剋上!頑張れ!鈴木健吾(宇和島東出身)

ニュース解説

  

いよいよ今月15日MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)の号砲が鳴る。

これまでオリンピックが開催されるたびに選考基準が曖昧なため男女3つしかない枠の選出をめぐり物議を醸してきた印象のあるマラソン。今回のMGCは3つの枠のうち上位2名に「東京五輪の出場権」が与えられるためどの選手も記録よりも順位を意識した真剣勝負となる。

この2年間は福岡国際マラソンや東京マラソンびわ湖毎日マラソンなど日本の主要大会がMGC選考対象レースとして開催され厳しい基準を突破したメンバーがMGCの出場資格を得ていった。また選考レース以外でも「ワイルドカード」として基準のタイムを突破した選手にMGCの出場資格が与えられる。最終的に男子はMGCの出場資格を得て大会に出場するメンバーは31人となった(女子は12人)。

この31人のうち最後の出場権をワイルドカードで勝ち取ったのが宇和島東高校出身の富士通・鈴木健吾選手だ。鈴木選手は神奈川大学3年生の時、箱根駅伝で2区区間賞を獲得し注目を浴び、4年生の全日本大学駅伝ではアンカーを務め日本一を獲得。「学生のトップランナー」としてその名を全国に広めた。そして大学卒業前にマラソンに挑戦。初マラソンの2018年東京マラソンを学生歴代7位の2時間10分21秒で走り19位に入った。初マラソンながら粘り強さを発揮した姿に日本マラソンの強化プロジェクトリーダー瀬古利彦さんが「鈴木君は日本の宝」とまで言うほど期待される選手となった。

しかし富士通に入社してから1年半。主だった大会で「鈴木健吾」の名前を見なくなった。度重なる怪我に苦しめられたのだ。元来練習の虫だった鈴木選手。指導者が用意しているメニュー以上に練習してしまう「癖」があった。入社して1年はマラソンどころか大会に出場する状態にはほど遠かったそうだ。それでも原因を追究し練習の量をセーブしたことにより徐々に状態が上がってきた。そして今年。国内のMGC選考レースの出場を見送り少しでも長く怪我を回復させつつマラソンで戦える体を作るため「MGC出場の最後のチャンス」を4月30日のMGC選考締切の2日前に行われるドイツ・ハンブルグマラソンに賭けた。

■鈴木健吾選手

「かなり焦りはありましたし無理だと思ったこともありましたけど、指導者に諦めなるなと言われて頑張れました。ハンブルグマラソンに臨むにあたっても、しっかりとした練習ができていなくて、本当にギリギリの状態でスタートラインに立ったので、後半はかなり押してしまって時計との闘いで、本当にあと何秒だって自分で計算しながら、本当にギリギリだって思って、最後はがむしゃらに走っていました」

彼は勝負に勝った。

状態は万全でないなか2時間11分36秒で走った。これで東京マラソンの2時間10分21秒と合わせた平均タイムが2時間10分59秒となり、MGCのワイルドカード出場資格2レースの平均タイム2時間11分以内をクリア。ギリギリのタイムでギリギリの時期にMGC31人中31番目の出場資格獲得となった。

■鈴木健吾選手

「(五輪は)正直あまり意識してなかったんですけどオリンピックに挑戦してみたいなっていうのは少しずつ出てきた。MGCはこれで代表になったら自分の人生が変わるんじゃないかと思うくらい凄い大会だと思う。母校が甲子園決めたり、母校の陸上部もすごく頑張っているので、そういう後輩の刺激を受けたり、両親だったり家族もすごい応援してくれているので、応援を力に変えて頑張りたいなと思っています」

MGCは9月15日(日)8:50スタート。

鈴木選手は「暑さ」にめっぽう強くリズムを崩さずに長い距離を走り抜くことが出来る選手。最後のチャンスをモノにした「最後の男」は今、一発勝負に向けて虎視眈々とその時を待っている。

記者プロフィール
この記事を書いた人
藤田勇次郎

1975年生まれ。奈良県大和郡山市出身。1998年入社。
高校野球・サッカー・日米大学野球・マラソン・トライアスロン・アームレスリング・駅伝・ボウリング・剣道・ビーチバレーなど各種実況担当。
「松山大学女子駅伝部」を10年にわたって取材。4本のドキュメンタリーを制作。

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