第12回書道パフォーマンス甲子園 長野松本蟻ケ崎高校が初優勝!

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今年も書道パフォーマンス甲子園の全国大会が四国中央市伊予三島総合運動公園体育館のメインアリーナで行われた。参加チームは全国7ブロックから予選を勝ち抜いた20校。メンバーは1チーム最大12人。競技時間は6分。各校がこの日の為に練習してきた“想い”を縦4m×横6メートルの大きな紙にぶつけた。

注目は大会史上初の3連覇を目指す福岡県の八幡中央高校。そして3年前に2連覇を達成している強豪校高松商業。九州予選でディフェンディングチャンピオンの八幡中央を破った初出場の大牟田北。連覇か?奪還か?または新しい王者の誕生か?三島体育館は朝9時の開場と共に、客席、特設の桟敷席が満席となった。

「書道パフォーマンス甲子園」はH20年に四国中央市「紙まつり」のイベントの一環として産声を上げた。1回目の舞台は四国中央市川之江商店街のアーケード。参加校は三島高校書道部を含む3校だった。その後、真剣に「書」に向き合い仲間と共に一つの作品を作り上げる姿が見ている人の心を打ち徐々に「書道パフォーマンス」に取り組む学校が増えていった。H22には三島高校をモデルにした映画「書道ガールズわたしたちの甲子園」が公開され大会参加校が一気に増加。現在は100を超える学校が予選に参加し、予選を通過した20校が四国中央市で毎年8月の初旬に行われる「全国大会」に出場する。

この大会の魅力は高校生たちのパフォーマンスに懸ける「熱量」に尽きる。本戦は一発勝負。失敗は許されないという極限の緊張感のなか、これまで築き上げてきた技と思いを音楽とダンスと絵と文字で表現する。選手全員心を合わせて一つの作品を作り上げる姿は数千人の観客を魅了する。競技を終えた選手達は体を震わせながら涙を流す。上手くいった達成感。練習通りできなかった悔しさ。様々な形の「涙」をみせてくれる。書道パフォーマンス甲子園には「書道」という文化的な要素と、団体競技のスポーツのような連帯感。2つの要素が合わさった「究極の青春」がある。

今年の大会を演技順に振り返る。

1:水戸葵陵高校(茨城県)

トップバッターの重圧を見事にはねのけ、かぐや姫の舞を傘を使った和風な演出で盛り上げた。日本の良さ、美しさ、魅力を令和へ繋ぐというメッセジを込め「新生」の大字を記した。

2:上宮高校(大阪府)

甲子園優勝に懸ける思いが日本一ある学校。歌舞伎の市川猿之助さんのアイデアに着想を得て黒い布を使って文字が浮き上がる超立体書道を展開。「自分応援」がテーマ。応援団スタイルで自分自身に、仲間に、観客にエールを送る姿には凄まじい迫力があった。

3:西条高校(愛媛県)

去年は予選を通過しながらも台風の影響で出場辞退。先輩の悔しい思いものせ困難を乗り越える強い意志をテーマにした。「真勇」という大字を中心に据え、苦悩に打ち克つまことの勇気を7人で表現した。

4:本庄第一高校(埼玉県)

「J・Kローリングの生涯」をテーマにハリーポッターの世界観を表現。ヒット作が出ずもがき苦しんだ過去との対比で「光」と「陰」を書いた。度胸さえあれば不可能などない!という彼女の言葉を用いて力強く宣言した。

5:八戸東(青森県)

「我愛す故に我在り」がテーマ。自分の仲の人格が2つに別れ「我」と「我」が「左右の我」をシンクロして書いた姿は見事だった。最後に我を愛した証として全員でハートマークを表現した。

6:高松西(香川県)

「大好き香川 美しい瀬戸内の風景」がテーマ。伝統の美しい舞。そして上品な書体を保ちつつ瀬戸内海に沈む夕日を描いた。最後は瀬戸内海にかかる「瀬戸大橋」を全員で表現。地元への愛情が溢れる作品になった。

7:本庄東(埼玉県)

「書道」を人に見立てた「書道先輩」が登場。序盤は様々な立場の人達が「書道先輩」を取り合うバトルに発展。しかし、先輩がみんなで書道に取り組もうと呼びかけ全員で仲良く作品を仕上げた。テーマは「みんなとアオハル書道にガチ恋」。審査員特別賞を受賞した。

8:岐阜高校(岐阜県)

「1300年前から受け継がれる岐阜の風物詩長良川の鵜飼」がテーマ。象徴的な篝火は先輩から受け継いだ筆で揮毫した。夜の水面に浮かぶ、船と鵜と篝火を使う鵜匠を「幽玄」と記した。

9:松江東高校(島根県)

挑戦~ここが我らの正念場~をテーマに歌舞伎踊りを創始した出雲阿国を表現。歌舞伎の動きを取り入れながら「くまどり」に金粉をふりかけ立体に見える工夫を凝らした。大字は「舞人」

10:山口高校(山口県)

テーマは「望郷~中原中也と故郷山口~」。マントと帽子を身に着け中也を再現。上京してからの挫折、故郷山口への思いをSLと山と中也の詩を紙面に描いて表現した。大字は「望郷」。

11:五日市高校(広島県)

平和への願いを込めた「祈り花」がテーマ。第2回大会で優勝。3度の準優勝を誇る書道パフォーマンス甲子園の強豪チームらしく優雅でしなやかな動きを見せた。

12:八幡中央高校(福岡県)

「北斎のように隅に狂って生きてやる。我らの青の衝動」がテーマ。3連覇のプレッシャーに打ち勝つような力強い作品となった。青い墨を紙面に飛び散らせ、白い墨で波を表現。北斎の「富嶽三十六景 神奈川沖波裏」の横に、紙面を立てて書く八幡中央流の書法で男子2人が力を合わせ4mの大筆を使って「墨狂」と書いた。素晴らしい作品だったが3連覇とはならず準優勝に終わった。

13:尼崎双星高校(兵庫県)

「故郷への恩返し~繋がれた愛のバトン~」がテーマ。去年地元尼崎に再現された「尼崎城」を描いた。作品には恩返しのバトンを自分たちが受け継いで時代を歩んでいくという決意が込められた。

14:鳥取城北(鳥取県)

「鳥取砂丘」がテーマ。紙面を全て覆う金色の大きな布の中に7人の選手が入り「鳥取砂丘」を立体的に表現した。本物の砂も用い場面転換。ひらがなで「すな」と「うみ」を時間の限り書きつづけ「文字」が「絵」になるアイデアで勝負した。

15:須磨東高校(兵庫県)

テーマは「須磨一ノ谷の戦い」源平戦でも有名な義経の鵯越を表現。大字は渾身の力をこめ「乾坤一擲」と記した。勇敢さまた戦の勇壮さを二手に分かれたダンスで現した。

16:大牟田北高校(福岡県)

紙面を半分に折り曲げ1冊の本に見立てる斬新なアイデアで勝負した。衣装はシルクハットにステッキ。ステッキが筆になりハットが桶になるという細かいところまで気持ちの行き届いた演出を披露。作品も全て横書きという珍しい作品となった。大字は「This is me」。初出場ながら書家の紫舟賞を受賞。

17:中央学院(千葉県)

光が多いところは影が強くなるというゲーテの言葉に着想を得て「光と影」をテーマにした。書道に悩む書道ガールが紙面に吸い込まれ「影絵」となった。仲間の励ましを受け、前向きになった少女が影絵から飛び出してくる演出が印象に残った。

18:大曲高校(秋田県)

本当の自分を出しても良いんだよというメッセージを込め大字に「真我貫道(しんがかんどう)」と書いた。ダンスも美しく悩みを抱える少女のストーリーを丁寧に表現した。

19:長野松本蟻ケ崎(長野県)

「書くことの大切さ」がテーマ。まずスマートフォンが登場。版画のようにこすることで文字盤などが浮かび上がってくる。そのスマホをスモークと共に現れた人と人を繋ぐという伝説がある一筆龍(いっぴつりゅう)が破壊。人と人が心を通わせるには「書くことが大切である」と伝える。選手はその言葉を受け丁寧にゆっくり文字を書く。大字は篆書体で「初志貫徹」。書を継承するのは我等なりと高らかに宣言した。圧倒的なパフォーマンスで魅了し悲願の初優勝に輝いた。

20:高松商業(香川県)

テーマは「人間とAI」。第8回・第9回を連覇した「高商流」とまで言われた筆先を見つめて可憐に舞う伝統の美しい所作を捨て近未来に挑戦。AIと人間が共存していく未来を大字に込めた。渾身の大筆さばきで完璧に演じきったが3位に終わり悔し涙を流した。

全国のレベルが一気に上がり、どの高校も素晴らしい演技を披露した。高校生たちを支えた実行員会の運営、高校生ボランティアのサポートも素晴らしかった。

愛媛が誇る「青春の一大イベント書道パフォーマンス甲子園」。来年はどのような作品が登場するのか?まだまだ大会の進化は止まらない。

記者プロフィール
この記事を書いた人
藤田勇次郎

1975年生まれ。奈良県大和郡山市出身。1998年入社。
高校野球・サッカー・日米大学野球・マラソン・トライアスロン・アームレスリング・駅伝・ボウリング・剣道・ビーチバレーなど各種実況担当。
「松山大学女子駅伝部」を10年にわたって取材。4本のドキュメンタリーを制作。

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