第21回「3勝17敗の衝撃 データで振り返る参院選・愛媛」

ニュース解説

■12勝8敗から3勝17敗へ

参議院愛媛選挙区は、無所属で野党統一候補新人の永江孝子さんと自民党新人のらくさぶろうさんが与野党一騎打ちの激戦を繰り広げました。その結果、永江さんがらくさぶろうさんに9万票近い大差をつけて初当選を果たしました。
自民党は、2017年衆院選愛媛3区に続く敗戦で、県内衆参6議席のうち、2議席を明け渡すことになりました。

【2019参院選結果(投票率52.39%)】
無・新 永江 孝子 氏 335,425票(86,809票差)
自・新 らくさぶろう氏 248,616票

【2016参院選結果(投票率56.36%)】
自・現 山本 順三 氏 326,990票(8,429票差)
無・新 永江 孝子 氏 318,561票

得票数を県内20市町別に見てみます。
3年前の参院選では、現職が勝利した自民党の12勝8敗。
しかし、今回の参院選では、3勝17敗と、3年間で勢力図が塗りかえられる結果となりました。
(勝利したのは、らくさぶろうさんの出身地・大洲市と上島町、伊方町の3市町)
 

■比例票では、与党圧勝も・・・

県内の比例代表得票数を与野党別に見てみます。

【与党】
自 民 党:241,111票
公 明 党: 89,150票
合   計:330,261票

【野党】
立憲民主党: 68,700票
国民民主党: 46,206票
共 産 党: 33,522票
社 民 党:  9,426票
合   計:157,854票

このように、自民党・公明党の与党が、県内で共闘した4野党に2倍以上の差をつけてます。
しかし、選挙区では、この得票数が逆転していて、与党の票が野党統一候補の永江さんに流れたていたことが分かります。

■中村知事による結果分析

中村知事は、今回の参院選の結果について7月22日(月)の臨時会見で、「3年前に2度の落選を乗り越えて参院選に挑戦し、しかも組織力で劣る中で大接戦を演じた永江さんが、3年間、ほんとに細かく動いてきたその姿勢、姿や努力が多く県民の心を動かした」などと、分析しています。

■注目は、大票田・松山市と四国中央市、今治市の投票結果

今回の参院選、自民党愛媛県連(以下県連)は、井原巧参議院議員が衆議院愛媛3区へ鞍替えすることに伴い、らくさぶろうさんを擁立しました。四国中央市は、その井原参議院議員の地元です。自民党県連としては、何としても勝たなければならなかった地域と言えます。
【四国中央市】
無・新 永江 孝子 氏 17,731票(2,065票差)
自・新 らくさぶろう氏 15,666票

また、今治市は、村上誠一郎衆議院議員と山本順三参議院議員の2人の国会議員の地盤で、組織力を生かした選挙戦を展開してきた自民党としては、勝ちが計算できる地域でした。
【今治市】
無・新 永江 孝子 氏 34,930票(6,551票差)
自・新 らくさぶろう氏 28,379票

さらに県内有権者の3分の1を占め、無党派層を多く抱える大票田・松山市は、永江さんが衆議院時代に地盤としてきた地域で、3年前の参院選では、当選した山本さんが5580票差で敗れています。このため、松山市を押さえることがらくさぶろうんさん勝利の絶対条件でした。しかし、永江さんにおよそ4万票差を付けられる結果となりました。
【松山市】
無・新 永江 孝子 氏 120,571票(38,974票差)
自・新 らくさぶろう氏  81,597票

■出口調査に基づく有権者の傾向

南海放送では、7月21日(日)の参院選投票日に県内の一部の投票所で出口調査を行いました。
そして、永江さん、らくさくろうさんそれぞれに投票したと答えた有権者に普段の支持政党など伺い、傾向をまとめました。すると、興味深い傾向が見えてきました。
まず、自民党のらくさぶろうさんに投票したと答えた人の4分の3が自民党支持層です。

一方、野党統一候補の永江さんに投票したと答えた人の3割近くが自民党支持層で、意外にも野党の支持層を上回り、政党の中で最も高い割合となっていることが分かります。

さらに、無党派層については、7割超が永江さんを支持していました。

■自民党県連は再び一枚岩となれるのか?

選挙戦では、自民党の県議会会派分裂問題が大きな課題となっていました。
しかし、自民党県連の戒能幹事長は、投票結果を踏まえ「自民党の全県議が全会一致で、らくさぶろうさんを推薦決定し、スクラムを組んで支援活動した選挙で、党の立場で全員が一丸となって一生懸命取り組んで頂いた」と、会派分裂の選挙への影響はなかったとしています。

一方、今回の敗戦を受けて、県連内には責任論も浮上しています。
こうした中、自民党県連は、7月25日(木)に合同議員総会を開き、選挙結果を総括して、県連組織を再生させていくための委員会を設置することを決めました。
メンバー構成は、今後協議されますが、委員会では、選挙戦で浮かび上がってきた様々な課題を洗い出し、良かった点は、次の選挙に繋げられるよう、種まきしていくとしています。
その延長線上で、分裂状態にある県議会の2つの会派の一本化についても議論されていく可能性もあります。

この敗戦をきっかけに再び、自民党県連が一枚岩となれるのか。
組織の再生に向けて前向きな議論が行われることを期待します。

記者プロフィール
この記事を書いた人
御手洗充雄

1976年松山市生まれ(現在43歳)、 1999年南海放送入社、2008年~報道部(愛媛県警記者クラブ、松山市政記者クラブ、番町クラブなどを歴任し、現在も記者として活動中)
約10年の行政記者経験を基に県政・市政ニュースを分かりやすくお伝えます。
 

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