サッカーを見て泣けたのは本当に久しぶりだった

オピニオン室

人生で何度このような劇的なゲームに遭遇できるだろう。
サッカーを見て泣けたのは本当に久しぶりだった。

6月24日土曜日。
四国初のフットサルF2リーグに昇格した「ミラクルスマイル新居浜」が
ホーム開幕戦で劇的な勝利を掴んだ(4-3リガーレヴィア葛飾)。

勝利を決定づけたのは残り16秒、青野響選手のゴールだった。

青野選手は先週の第2節ヴィンセドール白山戦でも
残り10秒でゴールを決めた。

アウェイではあったが
歴史的なFリーグ初勝利を呼び込んだ選手だった。

新居浜市市民体育館で開催された初めてのFリーグ。

実は選手、関係者は前日の夜中まで会場作りに追われていた。

チーム発足11年で掴んだ夢舞台。
すでに60社近いスポンサーがいるが
資金は潤沢ではない。

この日、2点目を決めたチーム代表を兼務する多田羅優選手は
「もちろん昇格したのは嬉しいんですけど
節約の為、アウェイの試合はハイエース2台で乗り分けて行ってます。
東京は10時間くらいかかりました。
一番遠いのは仙台なんですが、そこもたぶん・・・車で行くと思います」

練習専用の体育館も今はない。
地元の小学校で筋力トレーニングをしている。

そんなチームに訪れた奇跡の笑顔。

「新居浜に恩返しがしたい!」
その想いだけでこぎつきたホーム開幕戦の初勝利。

全選手がアマチュア契約で仕事をしながらのセミプロチーム。
そんな小さな町クラブが
追いつかれては突き放し
追いつかれては突き放し。
残り16秒で勝利を手にした。

規模の違いはあるが
同じ愛媛にプロリーグに所属するチームが
愛媛FCとFC今治、そしてミラクルスマイル新居浜の3つに増えた。

この田舎町でJリーグとFリーグを12月まで楽しむことが出来る。

スポーツファンとしてこんなに幸せなことがあるだろうか。

記者プロフィール
この記事を書いた人
江刺伯洋

江刺伯洋(えさし はくよう)1971年3月1日松山市生まれ。
入社以来アナウンサーとして主にスポーツやラジオを担当。特にサッカー実況は少年からJリーグまで全カテゴリーをこなしてきた。
著書に愛媛FCのJ昇格劇を描いた「オレンジ色の夜明け」、「群青の航海 FC今治、J昇格まで5年の軌跡」がある。【現担当番組】DAZNのJリーグ中継(FC今治、愛媛FC)、ラジオ生ワイド「江刺伯洋のモーニングディライト・フライデー」(毎金曜午前07:15~11:09)など。

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