先週土曜日、南海放送で開催された
愛媛国際映画祭2022
「ドキュメンタリー映画祭」。
ローカル局制作の
ドキュメンタリー作品4作を
無料公開させていただきました。
お世辞抜きで
珠玉の、至高の、ベスト・オブ・ベストの
4作品。
テーマは「家族」。
いずれも10年、20年追いかけた
文字通りの力作です。
作品にはそれぞれの家族の生きざまが
時に美しく、時に切なく、時に残酷に
ありのままが描かれています。
ローカル局にしかできない、
ローカル局だからこそできたドキュメンタリー。
詳しい内容を私が書くのは野暮なので、
上映後行われた
制作者フォーラムから
作り手の魂の言葉を列挙します。
今回上映「山懐に抱かれて」と「たゆたえども沈まず」の
2作品を制作した
テレビ岩手・報道特別プロデューサー、遠藤隆さん。
「山懐に抱かれて」は岩手で酪農牧場を営む
8人家族を24年間追いかけ、
「たゆたえども沈まず」は東日本大震災から
10年を追いかけた作品です。
「取材対象者に“ここから歩いてくれ”とか
一切言わないです。
気の利く人なら5,6年で出来るかもしれないが
私は20年以上かかったw
そのままを見てもらいたいから
変な調味料は一切使わないです」
謙遜されて言わなかったですが
確かに出演者も素晴らしいのですが
それを引き出すのはやはり作り手の手腕です。
そんじょそこらの
ユーチューバーが
「取材させてください~」って飛び込んできても
ここまでの絆は絶対に作れません。
その放送局が長い間、地元と真摯に向き合ってきたからこそ
愛されて受け入れられるのです。
「(寺尾ディレクターは)
息子みたいなもんじゃけん
取材に来た最初っから(嫌だとは)なんとも
思わんかったんよ!」
スクリーンの笑顔と全く同じだったのは
特別ゲスト
南海放送制作「ともしび」の主演女優?である
“ミーコちゃん”。
彼女が話すたびに
会場は一瞬であったかい雰囲気に。
「ともしび」は今治のお好み焼き屋女将、
ミーコちゃんとお店にやってくる人たちを
南海放送・寺尾隆ディレクターが
丁寧に追いかけた名作です。
「その都度、その都度
(ミーコちゃんの)日常を追って来ただけで
17年の大作になるとは全然思わなかった」
ミーコちゃんと寺尾ディレクターの
ホントの親子のようなやり取りに
参加者の皆さんも笑いころげるやら
もらい泣きするやら。
「大きな放送局は
(今治)大浜のようなところにはこない。
愛媛も派手なことがいつも起こる土地柄ではない。
でも皆さん一人一人に人生があって
それを描くというドキュメンタリーには
無限の可能性があって素敵な輝きがある。
それを見つけるのがローカル局だと思っている」
ああ、まだまだ言いたいことがありますが
遠藤監督にまとめていただきます。
「東日本大震災の後、大きな局はたくさん岩手に来たけど
視聴率を優先するあまり
酷い取材をして帰ったところも多かった。
でも我々はずっと寄り添う、何年も居続ける。
だからきちっと被災地と向き合わないといけない。
南海放送もそうだと思う。
ここ(地元)で生きていくことは逃れられない。
でも逆に言えば可能性があるんです。
ドキュメンタリーは深夜放送が多く
なかなか観てもらえないかもしれないが
日本中で色んな人が生きてることを
観てほしいです」
翌日、遠藤さんは
レンタルバイクを借りて
佐田岬まで行ったそうです。
何たるバイタリティー!
いやあ、見逃した方…
モッタイナイ❕