直木賞作家、来襲❕

オピニオン室

今日は本の話です。
先週月曜日(6/27)、このド派手なワゴン車で
弊社を来襲したのが
第166回直木賞受賞作家・今村翔吾さん。

なんでまた人気作家さんが?

「日本一動く直木賞作家を目指してるんです~」

なんとワゴン車の後部座席を改造して
執筆しながら(同時連載6つ❕)
全国47県約300か所の書店やメディアを
一度も自宅に戻らずに巡る
「まつり旅」を決行中だと。

愛媛が16県目。
トランクに入れた
10日分の服をまわしているそうで
「文学賞をもっと気軽に感じてほしい。
都会はサイン会などあるけど
地方はなかなかないんでね~」

九州の阿蘇山を回った時は
流石に左右に振られてPC打てませんでした~
と笑ってらっしゃいました。

なんというバイタリティ❕

さて直木賞受賞作となった
歴史小説「塞王の楯(さいおうのたて)」。

500Pを超える
国語辞典並みの分厚さに気圧されましたが
読み始めると一気読み。

武将を取り上げた作品は数多ありますが
戦国時代を城の石垣を作る職人(穴太衆)目線で
描いた作品には初めて出会いました。

城を攻める側(鉄砲衆)との楯vs矛ライバル関係、
師匠との師弟関係、
大名との主従関係などなど
現代とも通じる人間関係が生き生きと描かれています。

「争いがなぜ起きるのか。
自分の提供したもの同士(石垣や鉄砲)で対決させる方が
よりそれを描けるのでは」
と思ったのがきっかけ。
今のウクライナ情勢にも思いを馳せる内容です。

断言します。
この作品を読むと石垣を見る目が
まったく変わります。

中でも
キレイにカットした石を積み上げるのではなく
そこら辺にある石をそのまま使って
バランスよく積み上げる
“野面(のづら)積み”と言われる
石垣作りで最も技術力を要する技
(これが最も頑強)があるんですが
これがまた奥が深い。
それを穴太衆は見事にやってのけて
大津城での戦乱時に…
これくらいにしておきましょう。
後は本書でご確認ください。

圧倒的な躍動感があるので
「映像化のオファー、来てるでしょ!?」と
こっそり聞いてみたところ
「実は結構ね…」と声を潜め
「でも…僕の作品はお金がかかりすぎるんです~」
って豪快に笑ってました。
ハリウッドからの連絡も待ってるそうですw

直木賞作家らしからぬ
とっても気さくな今村さん。
しかも、元はダンス・インストラクターという
異色の経歴。
10年ほど前、
松山のお城まつりでダンスをしたことがあり
その縁で今回のルートも
スイスイ決まったそう。

そんな話をラジオでしていたら
「昨日、今村さんを保内町のコインランドリーで
見かけました」というメッセージが。

規制概念、固定観念なんじゃそりゃ
の“野面・作家”今村翔吾さん。
今頃どこかの地方で
左右に振られながら
後部座席で傑作を
書いてらっしゃることでしょう。

 

記者プロフィール
この記事を書いた人
江刺伯洋

江刺伯洋(えさし はくよう)1971年3月1日松山市生まれ。
入社以来アナウンサーとして主にスポーツやラジオを担当。特にサッカー実況は少年からJリーグまで全カテゴリーをこなしてきた。
著書に愛媛FCのJ昇格劇を描いた「オレンジ色の夜明け」、「群青の航海 FC今治、J昇格まで5年の軌跡」がある。【現担当番組】DAZNのJリーグ中継(FC今治、愛媛FC)、ラジオ生ワイド「江刺伯洋のモーニングディライト・フライデー」(毎金曜午前07:15~11:09)など。

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