ニュースのウラカタ#37「現場にて」

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ニュースのウラカタ#37「現場にて」
先日このニュースの深層に、CH.4の松岡キャスターが「大地震への備え~出社しない放送~」と題して、弊社の報道セクションで実施した地震対応訓練について投稿しました。私もこの訓練に参加したのですが、多くの気づきがあったので、関連してこの記事を書いています。

普段であれば、私はデスクとして会社の中から現場の記者やカメラマンに指示を出す役目です。これまでの訓練には、その役目で参加してきました。それが今回は”出社しない放送”がテーマだったため、役目が変わりました。現場です。180度違う視点で有事の放送を体感することになったのです。

訓練では、県内で最大震度6強(松山市)の地震が発生、南海放送では態勢が整い次第、全国放送をローカル放送に切り替え(ローカルカットイン)、愛媛県民に地震の情報を伝え、安全な行動をとるよう呼びかけました。私は在宅中に地震に見舞われました。会社までは自転車(いつもの通勤手段)で25分、歩いて70分かかります。交通機関がまひしていることが容易に想像できる中、会社に向かうより自宅周辺で取材にあたるのがベターと判断しました。会社にいるデスク(たまたま会社にいた役の人)にその旨を伝え、松山ICの入口へ。松山道は封鎖されたという想定です。スマホのテレビ電話機能を使って渋滞の様子をリポートしました。訓練ではありますが、記者時代以来12年ぶりに”現場”でしゃべるというレアな体験でした。
※この映像は訓練です。

たった1人で、放送機材ではないスマホで、生中継ができる時代だということに感激しました。一方で、現場は孤独で、被害の状況やどんな放送をしているかなどの情報は断片的にしか入手できません。しかも(松山が本当にこのクラスの地震に見舞われた場合)会社の中も混乱を来しているだろうことから、さらに孤立してしまうと痛感しました。逆の立場(会社の中のデスク)になったとき、現場に必要な情報を如何に伝達していくか、大きな課題です。

スマホ中継に続いて、自転車で石手川に移動しカメラマンと合流、今度はテレビカメラ・マイク・中継システムなどの放送機材を使った被害状況のリポート。

※この静止画は訓練です。
ここで気づいたこと、災害用のヘルメットを自宅にも置いておくべきかな…
自転車用のヘルメットで生中継に臨むことになってしまったので。

記者プロフィール
この記事を書いた人
宇都宮宏明

西予市宇和町出身、1996年 南海放送入社後、主にテレビ番組制作部門。
「もぎたてテレビ」のディレクター・プロデューサーなど担当。
2018年~「ニュースCH4」デスク(自称”世界で一番優しいニュースデスク”)。

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